研究課題/領域番号 |
18K06999
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
深澤 由里 東邦大学, 医学部, 講師 (90392331)
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研究分担者 |
藤澤 千恵 東邦大学, 医学部, 講師 (10393000)
三上 哲夫 東邦大学, 医学部, 教授 (90286352)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 静脈侵襲 |
研究実績の概要 |
術前加療されていない進行大腸癌50例(血行性転移あり20例、血行性転移なし30例)を選出し、HE染色標本および弾性線維染色標本を観察した。「明瞭な静脈侵襲像あり」、「豊富な線維化を伴っているtumor buddingあり」、「多数のリンパ管内腫瘍細胞浮遊像あり」の所見の有無で統計学的に解析した結果、有意に肝転移を予測できた(p < 0.001)。しかし、これらの所見は、観察者間の主観で判断する項目があり、再現性に問題が生じた。そこで、文献的に検索し、有用と考えられたMMP7、S100A4の免疫組織化学染色を追加し検討した。病理学的所見を多数検討した結果、「リンパ節転移が5個以上ある」、「主病変と非連続するように太い静脈侵襲像がある」「S100A4の免疫組織化学染色標本にて弱拡大で腫瘍細胞に陽性像が観察される」の3項目を選出した。いずれの項目も1項目のみでは特異度は90%前後だが、感度が低かった(40%前後)。そこで「3項目のうち1項目でも条件を満たす」か否かで検討したところ、感度85%、特異度83%で肝転移を予測できることが分かった。今後、新規のマーカー分子の発現を免疫組織化学染色に追加検討し、さらに感度・特異度の高い項目を検討中である。 ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)にVEGFA, IL-8を添加し、内皮細胞ー内皮細胞間の結合性を形態的およびVE-cadherin(リン酸化物を含む)のWestern Blotting法で確認中である。形態的には内皮細胞間の結合が減弱しており、免疫染色にてVE-cadherinの細胞膜での発現の減弱を確認している。今後浸潤先進部で発現していると考えられるサイトカインなどをHUVECに添加し、内皮細胞間結合の変化、細胞間のタンパク発現の変化および腫瘍細胞との関連を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
急遽、別の研究に時間を取られ、本研究へのエフォートが低下した時期が生じたため、やや予定より遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度、培養実験の条件の検討や使用する道具などを検討したため、次年度は特に培養細胞の実験はスムーズに進めることができると考える。研究協力者、研究分担者と協力できる体制が整っており、研究を進められると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、実施できなかった培養血管内皮細胞と腫瘍細胞の相互作用をみるtransmigration assayにかかる費用、免疫組織化学染色およびウエスタンブロッティング法に使用する抗体購入費に未使用額が生じたためである。 次年度使用計画としては、本年度実施できなかったtransmigration assayに関わる費用や抗体購入、その後の細胞機能の解析費用として使用する予定である。
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