研究実績の概要 |
L-type amino acid transporter 1(LAT1、SLC7A5)はがん特異的に発現していることから、がん型アミノ酸トランスポーターと考えられ、がん診断のみならず予後バイオマーカー・治療標的分子として注目されてきている。我々は胆管癌・膵癌において正常上皮よりもLAT1が発現亢進し、その高発現は独立した 有意な予後不良因子であることを報告した(Yanagisawa N. et al., Cancer Med., 2014ほか)。LAT1高発現で新規阻害薬JPH203での効果が期待され、かつ悪性度の高い胆道癌細胞株について、LAT1機能解析・新規LAT1選択的阻害薬JPH203に対する腫瘍抑制効果の検討を行い、LAT1阻害薬によるがん治療効果等、臨床応用のための基礎的データを収集する。 今回、ヒト胆道癌細胞株(HuCCT1・TFK1・HuH28・G415)を使用し、各細胞株において、1)各々の 細胞増殖能を検討した。2)ホルマリン固定パラフィン包埋cell block切片を用いた免疫染色、3)Real time RT-PCR、4)western blottingでLAT1・LAT2の発現を確認した。これらの結果からTFK1がLAT1の細胞膜高発現・良好な細胞増殖能を示したためTFK1を選択し、5)siRNAによるLAT1のknock down実験6)LAT1阻害薬JPH203とゲムシタビンの細胞増殖抑制効果について検討した。siRNAによってwestern blottingで一時的なタンパク発現低下を確認した。ゲムシタビンは想定通りの細胞増殖抑制を示し、またJPH203もゲムシタビンと比較して弱いが細胞増殖抑制を認めた。7)レンチウイルスベクターを用いたshRNAによるLAT1 knokcdown細胞株を複数作製した。発現低下を確認し現在実験継続中である。
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