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2018 年度 実施状況報告書

肺扁平上皮癌・小細胞癌の革新的進展制御法の確立: 細胞膜スフィンゴ脂質からの攻略

研究課題

研究課題/領域番号 18K07002
研究機関金沢医科大学

研究代表者

上田 善道  金沢医科大学, 医学部, 教授 (50271375)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード肺癌 / 細胞膜スフィンゴ脂質 / 扁平上皮癌 / 上皮間葉移行 / Sphinogosin kinase-1
研究実績の概要

肺癌(非小細胞性及び小細胞性)の進展・転移における癌細胞ならびに浸潤先進部の反応性線維芽細胞の細胞膜におけるスフィンゴ脂質動態の変容の関与に関して研究を行い、以下の成績が得られた。
1.前回申請の関連申請課題である肺腺癌における sphingosin kinase-1(SK-1)の発現と腺癌のドライバー遺伝子である epidermal growth factor receptor (EGFR)遺伝子変異との関連を肺腺癌 54症例を用い検討した。腫瘍胞巣辺縁部における SK-1の発現は EGFR変異陽性例と比較し、EGFR陰性例で有意に亢進していた。一方、肺腺癌腫瘍胞巣中央部における SK-1の発現は、EGFR変異陰性例と比べ、陽性例で有意に増強していた。これらの結果は予想と反していたが、腺癌腫瘍胞巣では肺胞上皮置換性増殖 lepidic growthを伴うことが多いこと、lepidic growth成分を含む腺癌は発生学的に EGFR変異の頻度が高いことが知られていること、さらに、今回の関連課題である前回の研究で明らかになったように lepidic growthを呈する腺癌細胞は浸潤性とは関係しない内因性の SK-1発現を示すことが今回の結果に寄与した可能性が推測された。
2.肺扁平上皮癌と腺癌における SK-1の発現を western blot法で解析した。腺癌と比べ扁平上皮癌で有意に SK-1の発現が亢進していることが、定量的に示された。
3.肺扁平上皮癌における SK-1の発現と浸潤形態、 epithelial mesenchymal transition (EMR)および増殖マーカーとの関連を免疫組織学的に検討した。膨張性発育部(肺胞内置換性を含む)と比較し、浸潤部では SK-1と EMTマーカーの発現亢進を認めた。SK-1の発現は増殖活性との関連は見なかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

非小細胞性肺癌外科摘出標本を用いた免疫組織学的検討ならびに Western blot法による SK-1を始めとする標的分子の半定量ならびに定量解析は順調に進んでいるが、計画していた小細胞癌での検討のための外科摘出標本が、肺小細胞癌外科手術症例が極めて少ないことから十分得られていない。
In vitroでの検証実験に関しては、実験条件の設定段階にとどまり、未だ有意な研究成績の獲得には至っていない。

今後の研究の推進方策

肺癌(非小細胞性及び小細胞性)の進展・転移における癌細胞ならびに浸潤先進部の反応性線維芽細胞の細胞膜におけるスフィンゴ脂質動態の変容の関与を明らかにするために以下の研究を進める。
1.肺扁平上皮癌外科摘出材料を用い、4種類の SK受容体の免疫組織学的ならびに western blot法による発現解析を行い、SK-1の発現、浸潤形態、 epithelial mesenchymal transition (EMR)および増殖マーカーならびに臨床病理学的因子との関連を解析する。
2.In vitroでの検証実験を行う。具体的には、1)Sphingomyelin産生・細胞膜分布の変化による細胞膜上での浸潤・転移関連分子群の再分配,セカンドシグナル活性化・集積の関係;2)増殖因子刺激による sphingosine kinase (SK) 1活性によるsphingosine-1-phosphate (S1P)産生を介した ERMの活性化と lamellipodia形成の関係;3)SK1系の活性化とがん幹細胞マーカー陽性細胞の関係の解析を行う。

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公開日: 2019-12-27  

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