| 研究課題/領域番号 |
18K07005
|
|---|
| 研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
|---|
研究代表者 |
高澤 豊 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 部長 (50313151)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
| キーワード | 遺伝性腫瘍 / 膵癌 / 婦人科癌 / 前癌病変 |
|---|
| 研究実績の概要 |
本研究は、膵癌、卵巣癌、子宮体癌、乳癌、大腸癌、などの家族歴あるいは既往歴を有する症例のうち、遺伝子検査によって原因遺伝子が同定されている症例および臨床的に遺伝性腫瘍と考えられる症例を用いて、①膵および女性生殖器における前癌病変の組織学的特徴の解析、②非遺伝性腫瘍における前癌病変の遺伝子変異との比較、により遺伝性腫瘍の発癌過程の解明に迫ることを目的とする。本年度は遺伝性膵癌および遺伝性婦人科癌の症例の抽出を行いつつ、以下の２つの課題について研究を進めた。
①遺伝性膵癌の前癌病変
遺伝性早期膵癌（上皮内癌や非浸潤癌）と非遺伝性早期膵癌について背景病変、前癌病変の病理組織学的形態と遺伝子異常（K-RAS、CDKN2A、TP53、SMAD4、DUSP6）の比較をした。遺伝性膵癌の進行癌と早期癌の背景病変の変化についても遺伝子変異解析および発現解析を行った。
②遺伝性婦人科癌の前癌病変
遺伝性婦人科癌をLynch症候群、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群(HBOC)、その他、の３つに分類し、子宮内膜、卵管上皮を中心として、頸部粘膜や卵巣を含めて、背景病変あるいは前癌病変を病理組織学的に検討した。さらに、子宮内膜ではPTEN、K-RAS、TP53、卵巣・卵管では、PIK3CA、ARID1A、TP53の遺伝子変異解析を行った。特に、予防的両側卵巣卵管切除術(risk reducing salpingo-oophorectomy(RRSO))が行われた症例の、子宮内膜上皮内あるいは卵管上皮内に前癌病変あるいは癌を抽出し、遺伝子異常の解析を行った。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝性膵癌および遺伝性婦人科癌の症例は、蓄積された症例以外に新規症例が確実に増え、より詳細な解析が可能になった。
|
| 今後の研究の推進方策 |
今年度と同様の解析を進めるとともに、原因遺伝子が未知の症例に関しては全エクソーム解析を含めた原因遺伝子の同定も試みる。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
実験の試薬は先行研究で用いていたものを使用でき、新たに購入するものが少なかったことで物品費を抑えることができた。
今年度から始める予定であった、次世代シークエンサーを用いて高感度の遺伝子変異解析は次年度以降に行うこととした。
|
