遺伝性腫瘍の早期癌症例を用いて、①膵および女性生殖器における前癌病変の組織学的特徴の解析、②非遺伝性腫瘍における前癌病変の遺伝子変異との比較、により遺伝性腫瘍の発癌過程を解明することを目的した。①遺伝性膵癌の前癌病変について通常型膵管癌と膵管内乳頭状粘液性腺癌という組織型の違いにより遺伝子異常が異なることを見いだした。②遺伝性婦人科癌についてLynch症候群、遺伝性乳癌・卵巣癌症候群、その他、の癌の発生部位・臓器の頻度は異なったが、3群の内膜病変には遺伝子変異に有意な差は認められなかった。③遺伝性膵癌と非遺伝性膵癌で糖尿病の併存に有意な差は認められなかった。
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