研究課題
食道扁平上皮癌の発癌初期段階におけるがん関連線維芽細胞(cancer-associated fibrobast, CAF)の役割を検討するために、ヒト食道正常扁平上皮細胞株(Het-1A)と線維芽細胞との間接共培養系を確立した。線維芽細胞として、CAFの起源と考えられているヒト骨髄由来間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell, MSC)を用いた。Het-1Aと4日間の間接共培養を施行したMSCではCAFマーカーであるfibroblast activation protein (FAP)とpodoplaninの発現が亢進することを確認できた。また、「間接共培養後のMSC」は「単独培養後のMSC」と比べて増殖能・運動能が亢進し、細胞内シグナル伝達においてはSTAT3のリン酸化レベルが亢進していた。さらには「間接共培養後のMSC」と「単独培養後のMSC」との間でサイトカインアレイ解析やcDNAマイクロアレイ解析を施行し、後者において分泌量や発現量の亢進する分子を網羅的に抽出した。これらの分子の発現量の変化を定量的PCR、ELISA、western blotによって確認したところ、ケモカインのCCL2の発現・分泌が亢進していることを見出した。次に、「間接共培養後のMSC」は「単独培養後のMSC」と比べてCAF様の性質を獲得したことから、これらの細胞のHet-1Aに対する影響を間接共培養することで比較検討した。「単独培養後のMSC」はHet-1Aの増殖能・運動能およびSTAT3のリン酸化を亢進させたが、「間接共培養後のMSC」はこれらの亢進作用がより強かった。CCL2をMSCあるいはHet-1Aに添加すると、いずれの細胞においても増殖能・運動能が亢進したが、STAT3のリン酸化の亢進は見られなかった。
すべて 2021 2020 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (30件) 備考 (1件)
Lab Invest.
巻: 101 ページ: 353-368
10.1038/s41374-020-00512-2.
Am J Pathol.
巻: 191 ページ: 686-703
10.1016/j.ajpath.2021.01.004.
巻: 100 ページ: 1140-1157
10.1038/s41374-020-0441-4.
https://www.med.kobe-u.ac.jp/patho/index.html