研究課題
胃がんは免疫組織学的な粘液発現のパターンにより、MUC2もしくはCD10陽性の腸型胃がん、MUC5ACもしくはMUC6陽性の胃型胃がんに大別される。腸型・胃型胃がんでは、背景に存在する遺伝子・分子異常を含めたpathogenesisが大きく異なることが知られている。本研究では、外科的切除材料から、胃がん組織及び非腫瘍部胃粘膜を採取し、いずれのサンプルも二分して、胃もしくは小腸/結腸オルガノイド培養のmedium を用い、腸型・胃型胃がんオルガノイドもしくは正常胃粘膜/腸上皮化生オルガノイドを樹立した。各々のオルガノイドに関して、MUC2/CD10/MUC5AC/MUC6の免疫染色やPAS/Alcian Blueの特殊染色を行い、その特性を確認した。現在までに40例の胃癌オルガノイドの樹立に成功しており、内訳としては胃型:11例、腸型:12例、胃腸混合型:14例、分類不能型:3例であった。樹立した胃癌オルガノイドを用いて、p53、MLH1、β-cateninの免疫染色や、MSI解析、TP53、KRAS、RHOA、TGFBR2、ARID1、ACVR2Aの遺伝子変異解析を行い、全ての情報を含めたライブラリー構築を進めている。加えて、次年度に予定していた胃がんの化学療法に用いられる代表的な薬剤 (5-FU、オキサリプラチン)に対する薬剤感受性の検討も進めており、現在22例における5-FU、オキサリプラチンのIC50値の測定を終えている。
2: おおむね順調に進展している
症例数は計画書では50例としていたが、現在までに40例の樹立を終えており、来年度に予定していた薬剤感受性の解析にも着手できていることから、進捗は概ね順調と考えている。
引き続き、オルガノイドの樹立を続けるとともに、RNA sequence等の網羅的遺伝子発言プロファールの解析へと進める。症例の選定は現時点でもある程度絞り込みが終わっており、サンプルの採集やquality check等の準備を進める。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 2件)
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