今後の研究の推進方策 |
現在までの研究結果から、NFE2L2活性化による浸潤抑制機構として形質転換細胞では当初予想したPGC1α経路以外の経路が関与することが示唆された。一方、悪性黒色腫細胞株においては、既知の通りベムラフェニブでPGC1αが誘導されることが確認され、また、その誘導はスルフォラファンにより抑制されることを見出した。 一方、PGC1αをミトコンドリアに高発現するメラノーマ細胞集団は、転移能が低いことが知られている(Luo C. et al., Nature, 2016.)。さらに、乳がんにおいてミトコンドリアでの活性酸素のレベルが高い細胞集団(MitoSOX陽性細胞群)が存在し、それらは高浸潤能を示すことが示されている(Kenny TC. et al., Cell Reports, 2019.)。以上から、ヒト悪性黒色腫細胞株においても高レドックスである細胞集団が存在し、また、そのような細胞集団ではNEF2L2の安定化によりPGC1α量が減少することで、高浸潤能を獲得しうると予想している。そこで今後は、NFE2L2の結合領域をもつEGFPベクターを安定的に発現した細胞株をもちいて、ミトコンドリアの活性酸素をイメージングするMitoSOX染色等を組み合わせてフローサイトメーターによる解析を行う。
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