本研究では、PGC1a経路とNFE2L2経路の相関関係をメラノーマで検討した。メラノーマのうちBRAF遺伝子にV600E変異を有するものは、BRAF阻害剤ベムラフェニブがPGC1a経路を介し転移抑制することが知られている。我々は、このような効果が確認できなかった培養細胞株において、NFE2L2経路を遮断すると細胞浸潤が抑制されるものを見出した。その機構として、転写制御BACH1を介することを確認した。以上から、当初想定したPGC1a経路とNFE2L2経路は独立的なものであること、また、NFE2L2経路の抑制はベムラフェニブが奏効しないメラノーマの浸潤転移抑制に有効である可能性が示唆された。
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