研究課題/領域番号 |
18K07025
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
潮見 隆之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80348797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肺気腫 / バイオマーカー / 候補分子 / 質量分析 |
研究実績の概要 |
計画1MMP1による肺気腫特異的細胞外基質分解産物をはじめとした特異的生体分子のスクリーニングと同定 1)初期スクリーニング―ヒトMMP1トランスジェニック (以下MMP1TG) マウスおよび野生型マウス(以下WT)マウスより、肺組織、BALおよび血清をサンプリングする。これらの試料は、既に確立済みの質量分析計によるショットガンタンパク同定法のためのプロトコールに従い処理を行い、質量分析による解析を行う
<実績> 本年度は、上記初期スクリーニングの実験を遂行した。具体的には、MMP1TG マウスおよびWTマウス肺組織を既に確立済みの質量分析装置によるショットガンタンパク同定法のためのプロトコールに従い処理を行い、LC-qTOF/MSおよびLC-MS/MSによって解析し、候補分子を複数同定した。これらの分子は約50%が細胞外基質分子であり、その他増殖因子なども見出した。これまで肺組織破壊を引き起こす疾患との関連が報告されていない分子も複数あり、病態メカニズムも含めて新規の知見が得られる可能性が非常に高いと考えている。しかし臨床応用を念頭に置いた場合には、肺組織よりも気管支肺胞洗浄液(BALF)ないし血清中で同定可能なマーカーが望ましいと考えられ、上記候補分子がこれらのサンプルから同定可能かの確認、更にBALFおよび血清中に出現している別の候補分子の検索を進める予定である。 当初、上記実験は研究代表者の所属施設で行う予定であった。しかし施設整備に遅れが生じたため、米国Columbia Universityの協力研究者であるJeanine D’Armeiento博士の支援、および同大学のproteomics coreを利用することによって実験を遂行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験の遂行は大部分を研究代表者の所属施設で行う予定であったが、新設の研究施設整備の遅れが生じたため元・前任地の研究室および大学(米国Columbia UniversityおよびNew York University)の施設を利用して研究を遂行した。このため、肺組織でのバイオマーカー候補分子の検索に留まり、BALFおよび血清内のマーカー検索には至らなかった(当初予定の1/3程度の実験に留まった)。未実施の実験は次年度に迅速に遂行し、予定した計画にキャッチアップする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者所属施設のでの施設整備に目処が立ったため、次年度以降の計画実行のペースを上げることにより、予定に追いつく予定である。翌年度の具体的な研究計画として、早期にBALFおよび血清内のマーカー検索(一次スクリーニング)を終了させ引き続いて下記の実験を予定している。
計画1 2)2次スクリーニング―上記で同定した分子について、サンプルの数を増やして特にBALFおよび血清サンプルの分析を行い、確実に同定可能であり、特異的な分子を同定する。 3)3次スクリーニング―選抜された候補分子について、その特異性を検定する。MMP1 TGマウスにMMP1特異的活性阻害剤であるRo-32-3555を投与し、上記分子の量が特異的に変化することを確認する。これらのstepによりMMP1酵素活性に特異的な分子を同定する。
本年度の結果から、予定通り質量分析計によるショットガンタンパク同定法により候補分子の検索が可能と考えており、現時点で、代替検索法である放射性同位体を利用してタンパク質をラベルし質量分析計でその差を同定する方法(iTRAP)や蛍光標識2次元泳動を用いるdifferential display (2D-DIGE)に切り替えてスクリーニングを行うことは予定していない。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の遂行は研究代表者の所属施設で行う予定であったが、新設の施設整備の遅れが生じたために元・前任地の研究室および大学(米国Columbia UniversityおよびNew York University)の施設を利用して研究を遂行した。また予定の1/3のサンプルの解析、かつ測定のための調製コストが低い形態の検体のみ測定を行った。このため当初予定と比較し、未使用額が大きくなった。また中央実験施設のみならず主任研究者のラボスペースの整備自体も遅れたため、器具や解析用機器の購入も可能な限り次年度に繰り越した。 次年度については施設の整備に目処が立ったため、遅れを取り戻すべくペースを上げて研究を遂行する計画である。研究費の歳出種目は大部分が物品費であり、研究遂行のペースが追いつくのに比例し、研究費の使用も進むことが予定されている。
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