研究課題/領域番号 |
18K07025
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
潮見 隆之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (80348797)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞外基質 / 分解酵素 / スクリーニング / 肺気腫 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
<研究計画>(計画1)MMP1による肺気腫特異的細胞外基質分解産物をはじめとした特異的生体分子のスクリーニングと同定 モデルマウスを用いた1次スクリーニング、2次スクリーニングとしてBALおよび血清で同定可能な物質を選択(臨床応用を目標としているため、これらのサンプルから検出可能な分子を選択)、さらに3次スクリーニングとしてMMP1阻害剤を用いMMP1発現特異的な肺気腫関連分子の同定のステップを通して候補遺伝子を同定する。(計画2)上記候補分子のin vitro/vivoでの確認と、検出系の確立 1)生化学的アッセイ―MMP1と候補タンパク質を用い生化学的にその分解活性を検定する。具体的には、分解活性の時間・量依存性を確認し、分解産物の切断箇所を同定する。尚、これらがMMP1の直接的な基質でないことが確認された場合には、次世代シークエンサーを用いたRNAseqを含めた網羅的遺伝子発現解析とpathway analysisを用い、MMP1上昇による特異的分子の制御機構を明らかにする。 2)Neo-epidope抗体の確立―上記の実験で同定した候補分子がMMP1の基質であった場合には、neo-epidopeをターゲットとした分解産物特異的抗体の樹立を行う。 <研究結果>本年度で計画1がすべて終了し、結果として6分子の肺気腫特異的生体分子の候補を確定した。次に計画2の1)による生化学的アッセイにより6分子中3分子が精製した活性型MMP1による、基質として時間及び量依存的分解活性を確認した。また候補分子に関しては、マウスおよびヒト両方のタンパクを用い臨床応用する際に問題が生じないことも確かめた。引き続き、2)のneo-epidope抗体樹立のためのペプチドを設計した。また基質活性が無かった残りの3分子については、pathway analysisによる制御機構に関する仮説モデルを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
依然として新型コロナウイルス感染症の蔓延による大学におけるオンラインおよびハイブリッド授業の実施による教育業務負担および臨床業務負担増大による時間逼迫、更に種々の実験用試薬・用具の納期の延長および納入遅れにより実験計画の遂行が大幅に遅れた。しかし計画1は終了し、計画2でも特異的基質マーカーといえる肺気腫バイオマーカーの同定に結びつく成果に進んだと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
大幅な研究計画の遅れにより、研究期間の更に1年間の延長を行った。本年度は最終年度として、検出系の確立に臨む。具体的には以下の計画である。
1)Neo-epidope抗体の確立―これまでの実験で同定したMMP1の基質である候補基質に対して、neo-epidopeをターゲットとした分解産物特異的抗体の樹立を行う(ペプチドの設計は終了しており、抗体作成を外部受託中)。
3)上記抗体の確認―確立した抗体について、計画1で得られたBALおよび血清をサンプルとしてwestern blotを用いてin vivoモデルからの分子を測定可能であることを確認する。続いて最終ステップとしてELISA測定系の確立を行う。時にneo-epidope抗体の樹立が難しい場合があるが、その際にはタンパク質の切断部位を考慮の上、部位特異的なモノクローナル抗体を複数樹立し、これらを組み合わせることにより、分解産物特異的なELISA測定系を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
全体的な実験の遅れに伴い、予算執行が滞っている。本年度計画しているNeo-epidope抗体の確立に比較的高額の予算が必要なため、この実行により当初予定したプロジェクト全体としての予算執行が進む見込みである。当然のことであるが効率的な予算執行に努め、より高感度で臨床応用も念頭に置いたELISA systemの確率を目指す。
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