研究課題
基盤研究(C)
本研究計画は、肺気腫におけるMMP1による細胞外基質分解産物をはじめとした肺組織構築破壊と相関を示す特異的生体分子の同定と、それらを用いたバイオマーカーとしての検出系の確立を目指した。MMP1トランスジェニックマウスを用いて肺組織、BAL、血清から質量分析法を用いてスクリーニングを行い、最終的に6分子の特異的生体分子を同定し、そのうち3分子はMMP1の直接的な基質であることを生化学的に確認した。加えて、これらの分子についてELISA測定系の確立を試みた。
人体病理学
現在、肺気腫の臨床診断で用いられている放射線画像診断手法および生理学的肺機能検査法は不可逆的組織構築改変後の構造および機能変化を検出する系であり、この過程・程度をin vivoでモニターする方法は確立されていない。また正常肺組織構造・機能への修復が起こりうる初期の肺組織構築改変過程を検出することは不可能である。本研究の成果は、肺気腫の分子病理学的機構の解明および新規治療法の開発に貢献すると事が期待される。