研究実績の概要 |
乳癌術前化学療法施行症例(NAC: Neoadjuvant chemotherapy)の治療開始前の針生検病理標本を、デジタル画像化の上、デジタル病理画像技術および人工知能を使用してNACの効果を予測するシステムを構築した。 症例は東京医科大学・山口大学・Weill Cornell Medicineから計310症例を入手し、207症例を人工知能のトレーニングに103症例をテスト用症例として解析を実施した。 人工知能としてはDeep Learning CNN(Convolutional Neural Network)としてResNext、ML(Machine Learning)としてSVM(Support Ve4ctor Machine)とRF(Random Forest)でModelで実施している。 NACの評価としては乳癌学会が規定している0~3の4段階(a/bに分ける6段階評価でa/bは同一とした)とRCB(Residual Cancer Burden)の指標を使用した。現時点ではSVMではROI尤度を用いたテスト症例に対するNACの反応予測では85%の精度で予測できている。 Deep Learning, Random Forestについては現在評価中であるが、3つのAIモデルの組み合わせで最終的には95%程度の精度での予測が可能になる見通しである。 これらの解析プロセスで、癌細胞の形態学的特徴量は乳癌のサブタイプ(ホルモンレセプター、Her2の発現)に対し特徴的な形態情報をもつことも見いだせた。 これらの癌細胞が持つ形態学的特徴と、癌細胞における遺伝子的な発現形態との関係性については今後の研究課題として検討していく。
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