研究課題/領域番号 |
18K07030
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
水谷 泰嘉 藤田医科大学, 医学部, 助教 (10546229)
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研究分担者 |
塩竈 和也 藤田医科大学, 医療科学部, 講師 (10387699)
稲田 健一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70246081)
鈴木 元 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80236017)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 酵素抗原法 / 形質細胞 / 抗体 / 免疫 / 慢性炎症 / 感染症 / がん |
研究実績の概要 |
酵素抗原法は、酵素やビオチンで標識した抗原をプローブとして、病理組織切片における特異抗体産生細胞(形質細胞)を可視化する免疫組織化学法である。本技法によって、病変部に浸潤する形質細胞が産生する特異抗体の標的抗原の同定とその抗体産生部位の同定が可能である。酵素抗原法は凍結切片に適用できるが、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片では抗体の失活のため適用困難な場合が多い。FFPE切片に本技法を適用できれば、病理診断用に保管されてきた多数の標本を研究対象とすることができる。そこで本研究は、FFPEブロックにおける酵素抗原法の確立を目的とする。これまでにパラフィン包埋切片でも抗体活性を維持できる固定法として、凝固固定が有効であることを見出した。本年度は、FFPE切片における抗体賦活化および増感法について検討した。 keyhole limpet hemocyanin(KLH)をラット四肢足底部へ皮下免疫した。腋窩、膝窩および鼠蹊部のリンパ節を採取して、PFA固定後凍結切片およびFFPE切片を作製した。これらの標本を対象に、ビオチン標識したKLHをプローブとしてFFPE切片における賦活化法および増感法の適用による染色性改善を検討した。増感法としてavidin-biotin complex(ABC)法、アミノ酸ポリマー法、catalyzed signal amplification (CSA)II法、Proximity Ligation Assay(PLA)法を用いた。その結果、FFPE切片における賦活化法として、凍結切片よりも高濃度の蛋白分解酵素処理が有効だった。また、プローブ抗原濃度の上昇および抗原抗体反応時間の延長によって染色性が改善した。さらに種々増感法を応用することで、低濃度抗原でも陽性シグナルを検出できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた高感度法の検討を実施して、有用な方法を検索できた。一方、増感法として最も高感度と期待されたPLA法において、陽性シグナルがまったく検出されなかった。この手法における染色シグナルの改善を現在検討中である。そのため、予定していた単分子ビオチン標識リコンビナント抗原による酵素抗原法への着手が遅れた。以上より、進行がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出したFFPE切片に有効な抗体賦活化法および増感法を用いて、FFPE切片を対象として、単分子ビオチン標識リコンビナント抗原をプローブとする酵素抗原法を検討する。FFPE切片にはヘリコバクター・ピロリ(Hp)を免疫したラットリンパ節のFFPE切片を用いる。コムギ無細胞系により単分子ビオチン標識蛋白をプローブとして調製する。Hpの抗原蛋白として、hsp60、groES、napA、flagellar sheath adhesinを用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたリコンビナント抗原をプローブとした酵素抗原法の検討が未実施だったため、次年度使用額が生じた。この費用は、今年度に実施予定のリコンビナント抗原調製用試薬の購入に充てる予定である。その他、酵素抗原法の実施に必要な染色用試薬およびガラス・プラスチック器具類に充てる予定である。
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