研究実績の概要 |
MITFはメラノーマの発症、進展に関与する転写因子であり、遺伝子増幅、変異による活性化が報告されている。MITFの転写活性は翻訳後修飾(リン酸化、ユビキチン化、SUMO化など)により制御される。MITFはSUMO化により転写活性が抑制されるが、悪性黒色腫におけるMITFのSUMO化およびSUMO化に関与する分子(HDACなど)の発現については明らかでない。本年度は臨床検体(悪性黒色腫病理標本)でのHDAC、MITFの発現、MITFのSUMO化についての解析を行った。現在まで20症例を用いてHDAC4, HDAC9, MITF, SUMO-1の発現について免疫組織化学染色による解析を施行した。MITF, SUMO-1は全症例で主に核に発現がみられた。HDAC9は全例で主に核での発現が認められた。HDAC4は3症例で発現がみられず、3症例で発現レベルが低下していた。MITFのSUMO化については、MITF抗体(マウスモノクローナル)およびSUMO-1抗体(ウサギモノクローナル)の2つの抗体を用いたProximity ligation assay(PLA)法により解析を行った。HDAC4の発現のみられない症例ではシグナル(SUMO化MITF)は低値であり、HDAC4の発現がみられる悪性黒色腫およびSpitz's nevusではシグナルが高値であった。PLA法での解析は少数例であるがHDAC4の発現とMITFのSUMO化との関与が示唆された。
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