研究実績の概要 |
MITFはメラノサイトの系譜を存続させるがん遺伝子(lineage-specific oncogene)であり、その活性(転写活性)はリン酸化、ユビチキン化、SUMO化などにより制御されている。家族性、散発性メラノーマや腎がんを伴うメラノーマの症例においてMITFのSUMO化障害を有する生殖細胞変異 (E318K)が検出され、この変異がメラノーマや腎細胞がんのリスクを高めることが示されてきた。本研究では、前年度に引き続き、臨床検体(45症例)を用いてMITF, SOX10, SUMO-1, HDAC4, HDAC9, BRAFV600E, NRASQ61K, PTENの発現を免疫組織化学染色により解析した。SUMO-1, SOX10, HDAC9すべての症例で陽性であった。MITFは1症例で発現の低下がみられたが、44症例は核に陽性であった。HDAC4は3症例で発現がみられず、10症例で発現低下がみられた。MITFのSUMO化をProximity ligation assay(PLA法)解析を行ったところHDAC4発現のみられない症例ではシグナル数は低値であり、HDAC4を発現している症例では高値であった。細胞株においては、MITFのSUMO化はHDAC4の発現により増強され、免疫沈降法によりHDAC4とMITFの複合体形成が確認された。HDAC4はMITFのSUMO化を制御する分子である可能性が示唆された。
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