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2019 年度 実施状況報告書

T細胞機能修飾による多発性硬化症の新規治療法の創生

研究課題

研究課題/領域番号 18K07038
研究機関千葉大学

研究代表者

坂本 明美  千葉大学, バイオメディカル研究センター, 准教授 (90359597)

研究分担者 幡野 雅彦  千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20208523)
藤村 理紗  千葉大学, バイオメディカル研究センター, 助教 (30376363)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード実験的自己免疫性脳脊髄膜炎 / リンパ球 / 転写因子
研究実績の概要

多発性硬化症の新規治療法開発を目的に、実験的自己免疫性脳脊髄膜炎マウスモデル(Experimental Autoimmune Encephalomyelitis:EAE)を用い以下を明らかにした。
1.転写因子Xは疾患特異的CD4T細胞の分化に必要である:転写因子Xの欠損マウスはEAEを発症しないがサイトカイン産生やケモカイン発現の解析からTh1,Th17細胞は分化することが明らかになった。そこで、病因T細胞の分化の違いを明らかにするために、EAEの神経症状発症後に神経に浸潤している細胞を詳細に比較した。その結果、PD1陽性CD4T細胞の分化が転写因子X欠損マウスでは誘導されていないことを見出した。転写因子Xは疾患特異的CD4T細胞の分化に関わることが明らかになった。
2.転写因子X阻害剤はEAE症状改善に有効である:今までにEAE発症後にタモキシフェン投与により転写因子Xの欠損を誘導するとEAEの症状が軽減することを明らかにしていた。本年はEAE発症後にペプチド合成による転写因子X阻害薬を投与し、治療効果があるかを検討した。その結果、投与後速やかに神経症状の改善が認められ、その後も悪化を認めにくかった。このことから転写因子X阻害薬が発症時の神経症状の改善に有効であることが明らかになった。
3.転写因子X阻害剤として機能する低分子化合物の発見:低分子化合物のスクリーニングを行い4系統29種類の化合物が、分子的、機能的に転写因子X阻害剤として機能することを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

以下の計画していた研究に関して、実験に取り組み結果が得られている。
1.EAEに特徴的なリンパ球の解析と転写因子Xの関連を明らかにする
2.転写因子X阻害剤の有効性の解析
3.転写因子X阻害剤のスクリーニング

今後の研究の推進方策

以下を検討し、研究のまとめを行う。
1.疾患特異的CD4T細胞の分化機構の解析:転写因子Xが発現を制御する分子とのダブル欠損マウスを準備してEAEの発症を検討し、詳細な分子機構を明らかにする。現在マウスは作成され、必要な個体数を育てている。
2.ドラッグデリバリ―法を応用した薬剤投与法の開発:薬剤をリポゾーム化し、投与することで単回、少量の投与で神経症状改善に有効かを確認する。
3.スクリーニングで得られた低分子化合物の有効性・安全性の検討:化合物の提供先を再度協議して可能な薬剤を動物投与に必要な量提供いただく。EAE発症後に投与して神経症状の改善が認められるか解析するとともに、全身状態を観察し安全性を確認する。

次年度使用額が生じた理由

実験に用いる新たなダブル欠損マウスの系等作製、飼育に時間がかかり、実験が次年度になったため。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Essential role of microgrial transforming growth factor-b1 in antidepressant actions of ®-ketamine and the novel antidepressant TGF-b1.2020

    • 著者名/発表者名
      Zang K, Chun Y, Chang L, Sakamoto A, Suzuki T, Fujita Y, Youge Q, Siming W, Yoayu P, Yunfei T, Xingming W, Ishima T, Shirayama Y, Hatano M, Tanaka K, Hashimoto K.
    • 雑誌名

      Translational Psychiatry

      巻: 10 ページ: 32-43

    • DOI

      https://doi.org/10.1038/s1398-020-0733-x

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Splenic NKG2D confers resilience versus susceptibility in mice after chronic social defeat stress: benefcial efects of (R) ketamine.2019

    • 著者名/発表者名
      Zhang K, Sakamoto A, Chang L, Qu Y, Wang S, Pu Y, Tan Y, Wang X, Fujita Y, Ishima T, Hatano M, Hashimoto K.
    • 雑誌名

      Eur Arch Psychiatry and Clin Neurosci

      巻: Epub ahead of print] ページ: 1-10

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s00406-019-01092-z.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 腸管炎症における制御性T細胞の役割とオートファジーの関与2019

    • 著者名/発表者名
      中嶋利典、坂本明美、藤村理紗、清宮航、文田貴志、大森智瑛、幡野雅彦
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会総会
  • [学会発表] Ncx KOマウスを用いたプロポリスの腸管バリア機能改善に及ぼす効果の検討2019

    • 著者名/発表者名
      清宮航、藤村理紗、坂本明美、中嶋利典、文田貴志、幡野雅彦
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会総会
  • [学会発表] Role of enteric neuron in eosinophil induction2019

    • 著者名/発表者名
      Lisa Fujimura, Akemi Sakamoto, Takashi Fumita, Masahiko Hatano
    • 学会等名
      第48回日本免疫学会学術集会
  • [備考] 千葉大学 バイオメディカル研究センター

    • URL

      www.m.chiba-u.ac.jp/dept/biomed/

  • [備考] 千葉大学大学院医学研究院 疾患生命医学

    • URL

      www.m.chiba-u.ac.jp/dept/shikkanseimei/

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公開日: 2021-01-27  

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