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2018 年度 実施状況報告書

カベオラ関連タンパクを介する圧負荷心不全時心臓線維化の病理機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07046
研究機関京都府立医科大学

研究代表者

小形 岳寛  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10402877)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード心筋線維化 / 心不全 / 線維芽細胞
研究実績の概要

本研究の目的は、心不全における心臓線維化にカベオラ関連タンパクSDPR/Cavin-2がどのように関わっているのかを明らかにし、心不全における心臓化のメカニズム研究を発展させること、である。これにより、カベオラ関連線維化シグナルの制御による「心不全」に対する新たな治療法確立のための研究基盤を構築することを目指している。
上記を明らかにするため、マウスTAC圧負荷心不全モデルとその心臓から単離した心臓線維芽細胞を用い、心臓線維化亢進関わる線維芽細胞の筋線維芽細胞への形質転換にSDPR/Cavin-2がどのような役割を果たしているかを組織学的、分子生物学的手法により解明を試みている。事前の検討により、全身SDPR/Cavin-2遺伝子欠損マウスにおいてTAC術後の収縮能保持、心臓線維化の著明な抑制が確認できていたが、得られた結果が線維芽細胞で起こっている変化かどうかを評価するため、periostin-creマウスとSDPR(flox/flox)マウスの交配による線維芽細胞特異的SDPR/Cavin-2遺伝子欠損マウスを作出した。このマウスにTACによる圧負荷心不全モデルを作製し、心エコーや組織標本を使って形態学的、組織学的な評価を行った結果、全身SDPRノックアウトマウス同様に、線維芽細胞特異的SDPRノックアウトマウスにおいてもTAC術後の収縮能保持、心臓線維化の著明な抑制が確認できた。また、マウス胎児線維芽細胞(MEF)を使用した線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化実験においてSDPRノックダウンはTGF-β1刺激による分化を有意に抑制し、SDPRがTGF-βシグナルを介した筋線維芽細胞への分化に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
現在、BioID法を用いてSDPRと直接関係するタンパクの同定とその関係について検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

マウスTAC圧負荷心不全モデルとその心臓から単離した心臓線維芽細胞を用い、心臓線維化亢進関わる線維芽細胞の筋線維芽細胞への形質転換にSDPR/Cavin-2がどのような役割を果たしているかを組織学的、分子生物学的手法により解明を試みている。事前の検討により、全身SDPR/Cavin-2遺伝子欠損マウスにおいてTAC術後の収縮能保持、心臓線維化の著明な抑制が確認できていたが、得られた結果が線維芽細胞で起こっている変化かどうかを評価するため、periostin-creマウスとSDPR(flox/flox)マウスの交配による線維芽細胞特異的SDPR/Cavin-2遺伝子欠損マウスを作出した。このマウスにTACによる圧負荷心不全モデルを作製し、心エコーや組織標本を使って形態学的、組織学的な評価を行った結果、全身SDPRノックアウトマウス同様に、線維芽細胞特異的SDPRノックアウトマウスにおいてもTAC術後の収縮能保持、心臓線維化の著明な抑制が確認できた。また、マウス胎児線維芽細胞(MEF)を使用した線維芽細胞から筋線維芽細胞への分化実験においてSDPRノックダウンはTGF-β1刺激による分化を有意に抑制し、SDPRがTGF-βシグナルを介した筋線維芽細胞への分化に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
現在、BioID法を用いてSDPRと直接関係するタンパクの同定とその関係について検討を行っている。

今後の研究の推進方策

BioIDに必要なプラスミドの作製後、MEFにトランスフェクションし、TGF-β1刺激後のタンパクを回収、現在、質量分析を外注にて解析中である。解析結果が出たら、内容を精査し、まずはTGF-βシグナルに関わるタンパクの同定とSDPRとの関連について免疫染色やウエスタンブロットなどで解析を行う予定である。予想通りの結果が得られなかった場合は、BioIDで直接関連している可能性があると推定されたタンパクについて、筋線維芽細胞分化や細胞外器質産生への関与を、過剰発現やノックダウンの系を用いて広範囲に検討を行う予定とする。

次年度使用額が生じた理由

BioIDに関する質量分析の外部委託費用として予定していたが、解析用サンプルの作製遅延により、解析が次年度に持ち越しとなった。次年度の使用計画としては、質量分析委託費用やその結果に対する更なる解析に使用する試薬の購入に当てる予定としている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Cavin-2 Deficiency Attenuates Myofibroblast Differentiation and Cardiac Fibrosis in Pressure Overloaded Hearts2019

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Higuchi, Takehiro Ogata, Masahiro Nishi, Naohiko Nakanishi, Akira Sakamoto, Yumika Tuji, Satoaki Matoba
    • 学会等名
      第83回日本循環器学会学術集会
  • [学会発表] Cavin-2 Deficiency Attenuates Cardiac Fibrosis and Dysfunction in Pressure-overloaded Hearts2018

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Higuchi, Takehiro Ogata, Masahiro Nishi, Satoaki Matoba
    • 学会等名
      The 23rd Annual Scientific Meeting of the International Society of Cardiovascular Pharmacotherapy (ISCP)
    • 国際学会
  • [学会発表] Cavin-2/SDPR Deficiency Attenuates Myofibroblast Differentiation and Cardiac Fibrosis in TAC Mice2018

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Higuchi, Takehiro Ogata, Naohiko Nakanishi, Masahiro Nishi, Akira Sakamoto, Yumika Tsuji, Satoaki Matoba
    • 学会等名
      第2回日本循環器学会基礎研究フォーラム
  • [学会発表] SDPR/Cavin-2 Deficiency Attenuates Myofibroblast Differentiation via the Actin-MRTF-SRF Signaling Axis and Cardiac Fibrosis in Pressure Overload-induced Heart Failure2018

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Higuchi, Takehiro Ogata, Masahiro Nishi, Naohiko Nakanishi, Akira Sakamoto, Yumika Tsuji, Hideo Tsubata, Satoaki Matoba
    • 学会等名
      The American Heart Association, Scientific Sessions 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] SDPR/Cavin-2 Deficiency Supresses Myofibroblast Differentiation via the Actin/MRTF/SRF Signaling Axis and Cardiac Fibrosis in Pressure Overload-induced Heart Failure2018

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Higuchi, Takehiro Ogata, Masahiro Nishi, Naohiko Nakanishi, Akira Sakamoto, Yumika Tuji, Satoaki Matoba
    • 学会等名
      第35回国際心臓研究学会日本部会

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公開日: 2019-12-27  

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