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2019 年度 実施状況報告書

新規RNA干渉核酸の探索および機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K07048
研究機関東京医科大学

研究代表者

大野 慎一郎  東京医科大学, 医学部, 講師 (90513680)

研究分担者 熊谷 勝義  東京医科大学, 医学部, 助教 (20567911)
黒田 雅彦  東京医科大学, 医学部, 主任教授 (80251304)
原田 裕一郎  東京医科大学, 医学部, 助手 (80570168)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードRNA干渉 / microRNA
研究実績の概要

応募者が開発した短縮型mimic miRNAは、RNA干渉を誘導する無修飾核酸として最短であり、in vivoおよびin vitroの実験から免疫応答を誘導しにくい特徴を有する。一方で、このような短いヘアピン構造のRNAに、RNA干渉活性があるという報告はなく、仮に生体内で類似の構造をとるノンコーディングRNAが存在するのであれば、新規のRNA干渉核酸として機能していることが予想されたことから、本研究では生体内に存在する短鎖ヘアピンRNAの探索および機能解析を目的とした。はじめに、細胞からRNAを抽出し短鎖RNAの次世代シーケンスを行った。その中から30塩基前後の配列情報を抽出し、RNA二次構造予測アルゴリズム(Centroid Fold)により、ヘアピン構造をとるghRNA様二次構造の短鎖ノンコーディングRNAを同定した。同定した内在性ghRNAのRNA干渉活性を調べるために、人工的に合成した内在性ghRNAを細胞へ導入し、マイクロアレイによりmRNAの発現変動の解析を行った。結果、内在性ghRNAの導入により、発現が抑制されるmRNAが多数同定された。また、その結果は、Real-time PCR法により再確認された。同定した内在性のghRNAのRNA干渉活性は、ルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポーターアッセイで検証した。内在性ghRNAの相補配列をルシフェラーゼ遺伝子の3‘UTRに連結し、合成ghRNAをトランスフェクションした際のRNA干渉を発光抑制により検出した。内在性ghRNAが制御する遺伝子の中には、がん等の疾患に関与する遺伝子もあり、新規RNA干渉機構であるghRNAの疾患への関与が示唆された。以上の成果は、第108回日本病理学会および第78回日本癌学会にて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和元年度では、ghRNA様二次構造の短鎖ノンコーディングRNAの探索および、同定した内在性ghRNAのRNA干渉活性の検証を主に行った。ghRNA様二次構造の短鎖ノンコーディングRNAの探索では、抽出した短鎖RNAの次世代シーケンスデータを、RNA二次構造予測アルゴリズムを用いて解析し、新規のghRNA様二次構造の短鎖ノンコーディングRNAを複数同定した。また、同定した内在性ghRNAを合成し、予測される標的遺伝子に対するRNA干渉活性を確認した。現在は、完全に未知である内在性ghRNAの生成機構について解析を進めている。従って、ほぼ計画通りに進行している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究から内在性ghRNA(30塩基前後で安定して存在するヘアピン構造のRNA)の存在とそのRNA干渉活性は確認できた。次の重要な課題は、内在性ghRNAの生成過程を明らかにする事である。内在性ghRNAの生成に関与する可能性があるリボヌクレアーゼを選定し、CRISPR/Cas9を用いて欠損細胞株を作製する。各種リボヌクレアーゼ欠損細胞株における、内在性ghRNAの発現パターンを解析し、生成過程を明らかにする。また、もう1つの課題は生理的重要性を明確に示すことである。しかし、内在性ghRNAの多くは、既に重要な機能が明らかなノンコーディングRNAの一部であり、欠損した細胞もしくは実験動物を作製することが困難である。従って、成熟したghRNAのみを吸着・阻害するRNA(スポンジRNA)を強発現するトランスジェニックマウスを作製中である。このマウスの解析により、内在性ghRNAの生理的役割を明らかにすることができる。

次年度使用額が生じた理由

大きい額ではなく計画通りである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 多様な核内マイクロRNAの機能2019

    • 著者名/発表者名
      大野慎一郎、黒田雅彦
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 269 (5) ページ: 337-341

  • [雑誌論文] rAAV6-mediated miR-29b delivery suppresses renal fibrosis.2019

    • 著者名/発表者名
      Saito S, Ohno SI, Harada Y, Oikawa K, Fujita K, Mineo S, Gondo A, Kanno Y, KurodaM.
    • 雑誌名

      Clin Exp Nephrol.

      巻: 23 (12) ページ: 1345-1356

    • DOI

      10.1007/s10157-019-01783-w

    • 査読あり
  • [学会発表] miR-34 familyによる3p21.3領域に存在するがん抑制遺伝子の発現誘導2019

    • 著者名/発表者名
      大野慎一郎、老川桂生、原田裕一郎、黒田雅彦
    • 学会等名
      第108回日本病理学会総会
  • [学会発表] The novel lncRNA expressed from the promoter of tumor suppressor BLU induces BLU expression via the miR-34-AGO complex.2019

    • 著者名/発表者名
      大野慎一郎、老川桂生、原田裕一郎、黒田雅彦
    • 学会等名
      第78回日本癌学会学術総会

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公開日: 2021-01-27  

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