研究課題/領域番号 |
18K07055
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
安藤 秀二 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (30360803)
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研究分担者 |
安藤 匡子 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (10466914)
松村 隆之 国立感染症研究所, 免疫部, 室長 (50434379)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リケッチア / 病態発現 |
研究実績の概要 |
日本国内で発生する主たるリケッチア感染症はつつが虫病と日本紅斑熱である。それらの病態モデルは極めて限定的であり,つつが虫病の原因となるOrientia tsutsugamushiは,血清型により病原性が異なることが明らかになってきたが,患者が増加傾向にあり,死亡例も多い日本紅斑熱の原因菌Rickettsia japonicaをはじめとする紅斑熱群リケッチアのヒトに適用できる病態発現機序は不明のままである。それらの解明のため,野生型ならびに遺伝子改変マウス等を用いたin vivo感染実験と,生体内でのリケッチア標的細胞である血管内皮細胞やマクロファージについて単球系分化細胞,初代培養細胞や株化細胞を用いたex vivo,in vitro感染実験を行い,個々のデータを有機的に結合,外挿することにより,ヒト生体内での発病環境に近い条件の検討,重症度を規定する因子,機序を明らかにすることを目的としている。 2019年度は,血清型ごとに病態が異なったOrientia tsutsugamushi株接種マウスのデータを整理、不足していた交差性抗体の相違も検討するするとともに,Rickettsia japonica標準株接種の背景データを得るための陰性コントロールマウスの検討を行い,材料を採取した。 Orientia tsutsugamushi標準株,Rickettsia japonica標準株との比較検討のため,国内の多様なリケッチア分離株のシード作製の準備も視野に,国内の各種分離株の収集も行った。マダニ成分ストック作製のためのマダニ収集は,分担者,協力者とともに継続して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
リケッチアは,ウイルスや一般的な細菌に比較して増殖に時間を要することから,使用株の種類が多岐にわたり,それらの準備には時間を要している。 また,年度末に発生した新型ウイルスのパンデミックの影響から,主たる実験施設である国立感染症研究所の施設が新型ウイルスの取り扱いが優先され,他の病原体を使った実験が困難となったため,年度末に計画していた実験を進めることが出来なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
実験室の再稼働に合わせ,順次,シード化した各種リケッチアの品質確認を行い,in vitro,ex vivo,in vivo感染によって,Rickettsia japonicaを主に,感染,増殖,細胞内動態を,qPCRによる測定,電子顕微鏡観察等,また次世代シークエンサーを用いたRNA-Seq解析,トランスクリプト―ム解析等を進め,リケッチア増殖に優位に働く宿主因子を検討する。最終年度のため,延長制度も考慮し,計画を再構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが令和2年4月1日以降となったため。 また特に、COVID-19による実験施設の使用制限等により,実験が困難になったため,有効期限のある試薬等の購入を控えたため。 計画の全体の進捗を精査し,延長制度も考慮した適切な使用計画を再構築して実施を進める。
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