平成30年度には、われわれの in vitro CADASIL病態モデルの病態再現性についてさらに詳しく検証を行った。CADASIL壁細胞では、Notch3細胞外ドメイン(NECD)の凝集が観察されたが、LTBP-1やHTRA1といった、CADASIL特異的なGranular osmiophilic material(GOM)の構成成分とも共局在することがわかった。興味深いことに、LTBP-1の凝集体はNECDを含まないことも多かったが、CADASILのHTRA1の凝集体はほぼ必ずNECDを含んでいた。一方で、LTBP-1とHTRA1はNotch3細胞内ドメイン(NICD)とは共局在せず、GOM様の凝集体を世界で初めてin vitroで再現できたと言える。GOMの構成成分、形成メカニズムや病原性については、未だにわかっておらず、我々のモデルで再現ができたことは、重要な意義がある。 治療薬の選定については、アクチン代謝に関係する薬剤のスクリーニングを行ったが、アクチン骨格の異常には有意な効果は認められなかった。PDGFRbやNotch3のノックダウンでは遊走能の異常が改善されたことから、上流のシグナル経路をターゲットとした治療法を今後検討する。
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