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2018 年度 実施状況報告書

全身老化誘導における脳内インターフェロンシグナルの影響

研究課題

研究課題/領域番号 18K07062
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

佐藤 卓  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 講師 (40375259)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード全身老化 / インターフェロン / 脳内炎症
研究実績の概要

加齢に伴って生じる視床下部の神経幹細胞の減少や機能低下は、全身の様々な老化表現型を引き起こすことが示されている(Nature.2013,497:211, Nature.2017,548:52.)。興味深いことに、このような視床下部の神経幹細胞の機能低下は、脳内におこる炎症が原因と考えられている。本研究では、加齢に伴い脳内で非感染性に分泌されることが知られているI型インターフェロン(IFN)が、この生理的な脳内炎症を誘導する分子候補と考え研究を進めている。
本研究では、この脳内IFNシグナルの全身老化への関与を明らかにすることが目的である。そこで本年度は、まずIFNシグナルの負の制御因子であるIRF2に着目し、同遺伝子が実際にマウスの脳神経細胞に発現することをRNAscope in situ hybridizationを用いて確認した。その上で、慢性的に脳内のIFNシグナルが過剰になる状況を再現するために、申請者が独自に作製したIrf2-floxマウスとNestin-Creマウスを交配し、Irf2を脳特異的に欠損するマウス(Irf2fl/fl: Nestin-Cre)を作製した。現在同マウスにおいて、老化表現型の早期出現が認められるかを観察中である。また、本年度は老化表現型を評価するための行動実験系として、オープンフィールドテスト、モリス水迷路を導入した。他方、IFNの作用はミクログリアの活性化を引き起こすことが知られていることから(Nature.2017,546:539)、この過程を介した間接的な神経細胞及び神経幹細胞の機能低下誘導の可能性を観察するために、マクロファージ(ミクログリア)特異的なIrf2欠損マウス(Irf2fl/fl: Cx3cr1-CreERT2)を作製した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は当初の計画通り、神経特異的Irf2欠損マウス、ミクログリア特異的Irf2欠損マウスの作製を完了した。また、老化表現型を解析するためのいくつかの実験手法を導入し、試行済みである。他方、脳特異的にIRF2と同時にI型IFN受容体(Ifnar1)遺伝子を欠損する二重コンディショナルノックアウトマウス(Nestin-Cre: Irf2fl/fl: Ifnar1fl/flマウス)も作製を進めており、次世代で目的のマウスが得られる予定である。本研究では、様々なパラメーターで、可能な限り感度良く全身の老化表現系を検出する必要がある。この点において、骨格筋繊維の萎縮、肝臓や腎臓の硬化は重要な老化パラメーターであるが、本年度は測定系が確立できなかった。

今後の研究の推進方策

次年度は、作製したIrf2fl/fl: Nestin-Creマウスにおいて、老化表現型の早期出現が認められるかを観察する。具体的には、行動解析(オープンフィールドテスト、モリス水迷路テスト)、老化変化の組織学的特徴の解析(皮膚の菲薄化、骨量低下、骨格筋繊維の萎縮、肝臓や腎臓の硬化など)を行う。また、同様にIrf2fl/fl: Cx3cr1-CreERT2マウスでも、若齢マウスにtamoxifenを投与し、加齢の過程で老化表現型を観察する。また施設の都合上、すべてのマウス系統での行動解析が行えないため、それを補完するために、上記のような組織学的解析を中心とした様々なパラメーターで老化表現型の定量測定できるように準備する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、マウスの作製が主な実験であったため、表現型の解析費用等への支出が少なかった。次年度は、これらの作製したマウスの詳細な表現型解析を行うため、例えば、行動解析、骨量などの受託解析に高額支出が考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Regulated IFN-signal preserves stemness of intestinal stem-cells by restricting2018

    • 著者名/発表者名
      Taku Sato, Toshiaki Ohteki
    • 学会等名
      第16回幹細胞シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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