研究課題
本研究では、脳内IFNシグナルの全身老化への関与を明らかにすることが目的である。IFNの作用はミクログリアの活性化を引き起こすことがすでに知られていることから(Nature.2017,546:539)、この過程を介した間接的な神経細胞及び神経幹細胞の機能低下誘導の可能性が考えられる。そこで、本年度の研究では、まずミクログリアの形態変化について、7-8ヶ月齢程度のIrf2+/-マウスおよびIrf2-/-マウスの脳内ミクログリアについて解析した。その結果、Irf2-/-マウスの特に大脳皮質のミクログリアは、すでに老化マウスミクログリア様のアメボイド型に近い形態を示すことがわかった。さらに本年度は、昨年度までに作製したミクログリア(マクロファージ)特異的Irf2欠損マウス(Irf2fl/fl: Cx3cr1-CreERT2、以下Irf2-MGKO)から、脳ミクログリアを精製し、網羅的遺伝子発現解析により、コントロールマウスとの性質の違いを検討した。このマウスを用いることで、ミクログリアにおけるIFNシグナル亢進の直接の影響を解析可能である。Irf2-MGKOマウスミクログリアで発現亢進した遺伝子のGO解析から、同ミクログリアでは確かにIFNシグナル経路の活性化していることがわかった。興味深いことに、Irf2-MGKOマウスミクログリアでは、別途独自に取得した2歳齢以上の超高齢マウスミクログリアが特徴的に発現する遺伝子群(加齢ミクログリアシグネチャ)を有意に高発現していることがわかった。一方、TnfやIl1bといった典型的な炎症性サイトカイン発現には変化がなかったことから、炎症タイプミクログリアを誘導するためにはIFNシグナルの亢進以外の要因も必要であると考えられた
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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