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2018 年度 実施状況報告書

免疫グロブリン遺伝子再構成・転写異常によるSLE発症機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K07065
研究機関京都大学

研究代表者

山田 宗茂  京都大学, 医学部附属病院, 特定助教 (60625242)

研究分担者 鶴山 竜昭  京都大学, 医学研究科, 特定教授 (00303842)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード免疫グロブリン遺伝子再構成 / 自己免疫疾患 / 全身性エリテマトーデス(SLE) / エピジェネティクス
研究実績の概要

本研究は、SLE自然発症モデルマウスで確認された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の再構成・転写異常に着目し、その原因となる遺伝子の同定に加え、自己免疫疾患における免疫グロブリン重鎖遺伝子座のエピジェネティクス機構を明らかにすることを目的としている。
これまで、免疫グロブリン遺伝子座の再構成については、縮重プライマーを用いたDegenerate PCR法(Nat Immunol. 5, 463, 2002)を用いて検討してきた。しかしながら、SLEモデルマウスで確認された遺伝子再構成異常の結果が、プライマーのターゲット配列中の変異等からくるPCR増幅効率への影響によるものではないことを明らかにするため、全ゲノムシークエンスを行った。
野生型マウス(C57BL/6)、SLEモデルマウス(NZB/W F1)に加え、SLEモデルマウスの両親であるNZB、NZWマウスの計4種のマウスについて全ゲノムシークエンンスを行なった結果、少なくともDegenerate PCRにおいてプライマーのターゲットとなる領域の配列にSNP等は確認されなかった。このことから、SLEモデルマウスにおいて、免疫グロブリン遺伝子領域に欠損・挿入等のゲノムレベルの変異がない上での再構成異常である可能性が示唆された。
一方、B細胞分化が免疫グロブリン重鎖遺伝子座の再構成異常へ与える影響を明らかにするために、野生型、SLEモデルマウスにおける骨髄細胞中のPre-pro-B、Pro-B、Pre-B細胞の割合を比較検討した。結果、野生型マウスと比較して、SLEモデルマウスではPre-B細胞の割合が低く、Pre-pro-BやPro-B細胞の割合が高い傾向が確認された。今後B細胞の各分化段階におけるアポトーシスの状況等も加え詳細に検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、野生型マウス(C57BL/6)、SLEモデルマウス(NZB/W F1)、NZBマウス、NZWマウスの計4種のマウスについて全ゲノムシークエンンスを行ない、SLE自然発症モデルマウス(NZB/W F1)において、免疫グロブリン重鎖遺伝子領域のゲノム配列に欠損・挿入等の変異がない上で、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の再構成異常が起きている可能性を明らかにすることができた。
また、フローサイトメーターを用いて複数の蛍光色素を選択して蛍光補正(コンペンセーション)を行うことにより、6カラーのマルチカラー解析が可能となり、Pre-pro-B、Pro-B、Pre-B細胞の分離と割合の測定、ならびに、各細胞におけるアポトーシスの状況の検討が行えるようになった。この技術により、免疫グロブリン再構成については、Pre-B細胞から、ヒストン化学修飾状況についてはPro-B細胞を用いるなど、B細胞各分化段階に合わせて詳細に検討することができる。

今後の研究の推進方策

SLEモデルマウスにおいて、遺伝子再構成後の転写にも異常が確認されていることから、pro-B細胞における免疫グロブリン重鎖遺伝子座のヒストン修飾状況についても今後明らかにしていく。具体的には、マウス骨髄細胞のリンパ球集団から、抗B220・CD19・IgM・CD43抗体を用いて、セルソーティングによりpro-B細胞を回収する。得られたpro-B細胞に対し、抗ヒストンH3K4me2抗体・H3K27me2抗体等を用いてクロマチン免疫沈降を行い、SLEモデルマウス、及び野生型マウス(C57BL/6)の免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるヒストン化学修飾状況について比較解析する。
さらに、遺伝子再構成が行われるpro-B細胞を中心に、野生型、SLEモデルマウス間のB細胞分化・成熟状況の詳細についても比較検討して明らかにしていく。具体的には、マウス骨髄細胞のリンパ球集団から、フローサイトメーターを用いてPre-pro B(B220+, IgM-, CD43+, CD19-)、Pro-B(B220+, IgM-, CD43+, CD19+)、Pre-B(B220+, IgM-, CD43-, CD19+)を分離し、それぞれの割合について野生型とSLEモデルマウス間で比較を行う。また、同時に、各B細胞におけるアポトーシスの状況についても7AAD(7-Amino-Actinomycin D)とAnnexin Vを用いて検討する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度の研究計画がおおむね順調に進展し、翌年度に約3Mbの領域においてクロマチン免疫沈降解析を行う大型解析が控えているため、当該年度の助成金の余剰分を翌年度分に合わせて計上した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Increase of MZB1 in B cells in systemic lupus erythematosus: Proteomic analysis of biopsied lymph nodes.2018

    • 著者名/発表者名
      Miyagawa A, Yoshifuji H, Kitagori K; Ito S, Oku T, Hirayama Y, Salah A, Nakajima T, Kiso K; Yamada N, Haga H and Tsuruyama T
    • 雑誌名

      Arthritis Research & Therapy

      巻: 20(1):13 ページ: 1-11

    • DOI

      10.1186/s13075-018-1511-5

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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