現在、実験系要求性から生体マウスにおけるAMPK活性を、光遺伝学により制御可能にするための準備を進めている。既に、培養細胞に用いた系においては、光刺激依存的にAMPKの活性化/不活性化を制御で来ており、その内容は、いくつかのの学会発表において公表している。しかしながら、活性化する分子機序については精査している最中である。同時に、この系を生きたマウスでも実行可能にするために、複数の外因性遺伝子や、遺伝子破壊をもつマウスを準備中である。既に、各々のマウス系統樹立は達成しており、今後は交配を繰り返すことにより、系の構築を進める。この系により、単一組織のみならず、単一細胞のAMPK活性を制御可能にし、より生体内のAMPK機能について検討可能になることが期待できる。覚醒状態のAMPK活性を、発光を用いて検出する系は現在デバイス作りを進めている。 また、上記の”生体マウスにおける光遺伝学”の系を樹立する過程で、いくつかの改善点を見つけ、論文として発表している。 単一細胞を狙い撃ちする光遺伝学技術の創設:狙った分子を光で活性化する光遺伝学ツールはその代表的なものであるが、3次元空間で狙った細胞だけを活性化するのは困難であった。そこで、ニ光子励起で効率よく活性化できる蛍光タンパク質からの蛍光共鳴エネルギー移動を利用して、CRY2をニ光子励起で活性化する技術を開発した。 新規バイオセンサーの開発:従来のシアン・黄色蛍光タンパク質 (CFP/YFP) を用いたFRETバイオセンサーと比較して、同等の蛍光強度比および蛍光寿命の変化を示すFRETバイオセンサー開発に成功した。励起、および観察波長が長波長になったため、CFP/YFPを用いたFRETバイオセンサーとの同時観察や、青色光依存性の光遺伝学ツールとの併用を可能にした。
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