敗血症のような全身性炎症反応は脳症の危険因子であるが、炎症の影響を脳に伝達する仕組みには不明な点が多い。本研究では、全身性炎症の影響を脳実質に伝える仕組みを、成体期と新生児期で比較しながら明らかにしたいと考えた。実験の結果、成体では全身性炎症が生じて1~4時間後という極めて早期に、脳脊髄液を産生する脳室内の器官である脈絡叢の中で、間質細胞および上皮細胞が多彩なサイトカインを発現しながら互いを刺激し合い、炎症性変化を脳実質へと伝達することが分かった。これに対して、新生仔脳ではサイトカイン濃度の上昇が成体に比べて長時間持続するのが特徴であり、その発現細胞が血管内皮である点も成体とは異なっていた。
|