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2021 年度 実施状況報告書

多段階発がん過程におけるMeis1経路の網羅的機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K07080
研究機関千葉県がんセンター(研究所)

研究代表者

若林 雄一  千葉県がんセンター(研究所), がんゲノムセンター 実験動物研究部, 部長 (40303119)

研究分担者 磯貝 恵理子  千葉県がんセンター(研究所), 発がん研究グループ 実験動物研究室, 上席研究員 (40300917)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード化学発がん / パピローマ / 扁平上皮がん
研究実績の概要

マウスに誘導した良性腫瘍パピローマ、皮膚扁平上皮がん、コントロールとして正常皮膚からクロマチンを分離し、anti-Meis1抗体を用いてChIP sequencingを行った。引き続き、Meis1ノックダウン細胞株を正常皮膚ケラチノサイト由来細胞C5N、皮膚扁平上皮がん由来細胞B9、D3の3種類の細胞株を用いて作成し、RNA sequencingを行った。RNA sequencingの結果、コントロール細胞とノックダウン細胞との間で発現量が2倍以上変動した遺伝子を抽出し、表皮細胞株において発現上昇が見られたサイトケラチンと、発現減少が見られたEMT(Epithelial-Mesenchymal Transition)関連遺伝子についてさらに解析を行った。具体的には、上皮性細胞マーカーにも用いられる高分子型のKeratin5/6a/6b/14/15 がC5N およびB9-Meis1 ノックダウン細胞株 で発現上昇していた。さらにEMT 関連転写因子のSnai1/2 や間葉系細胞マーカーのVimentin がMeis1 ノックダウン細胞株で で発現低下する傾向が認められた。さらに、すでに取得済みであった多段階悪性化過程の Meis1-ChIP-seq データと併せて解析した結果、Krt5 および Krt15 において正常皮膚および 早期良性腫瘍で両遺伝子の上流にリードピークが検出された。一方、EMT 関連転写因子Snai2 においても同様に検索した結果、早期良性腫瘍においてピークが検出された。そこでKrt5、Krt15 およびSnai2 の5’UTR 上流の配列を検索した結果、1 kb 以内にMeis1 結合モチーフのコンセンサス様配列がそれぞれ1つ以上確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスに誘導した良性腫瘍パピローマ、皮膚扁平上皮がん、コントロールとして正常皮膚からクロマチンを分離し、anti-Meis1抗体を用いて行ったChIP sequencingとRNA sequencing のデータを重ね合わせた結果から、Meis1 が直接的にKrt5、Krt15 およびSnai2 の発現調節をしていることが予測された。すなわち、Meis1存在下では腫瘍はEMTの方向に向かい、より悪性化しやすくなるのに対し、Meis1非存在下ではSnailの発現が減少し、Krt5、Krt15の発現が上昇することにより、腫瘍の悪性化が阻害されることが考えられた。これらはsequencingデータを解析した結果であるので、RT-PCR、ChIP-PCRを行い、以上の結果について確認を行った。さらに、Meis1ノックダウン細胞株で発現上昇し、かつChIP-sequencingでもピークが見られたKrt5、Krt15については、Meis1ノックダウン細胞株を用いて、さらにKrt5、Krt15のノックダウンを行い、Meis1ノックダウン細胞株で観察された表現型がレスキューされるどうかの検証実験を行っている。同様にMeis1ノックダウン細胞株で発現低下し、ChIP-sequencingでもピークが見られたSnail2については、Meis1ノックダウン細胞株を用いて強制発現を行い、表現型への影響について解析を行っている。Meis1は表皮幹細胞の維持に働くことが示されていたことから、神経幹細胞でCreを発現するNestin-CreマウスとMeis1コンデイショナルノックアウトマウスとの交配を並行して行った。しかしながら、Nestin-Cre陽性かつMeis1floxアレルホモのマウスが得られず、胎生致死の可能性も示唆された。

今後の研究の推進方策

Meis1下流で機能することが予測される遺伝子群のノックダウン細胞株、強制発現株の解析を進める。並行してNestin-CreマウスとMeis1コンデイショナルノックアウトマウスとの交配を進めて表現型の解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍で欠品や納品までの時間がかかる物品が多く、研究が遅れがちになったことで次年度p使用額が生じた。最終年度はコロナ禍の影響も小さくなることが予想されることから、早めに消耗品類を購入し、予定している計画を遂行したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] PHLDA3 Is an Important Downstream Mediator of p53 in Squamous Cell Carcinogenesis.2022

    • 著者名/発表者名
      Saito M, Sada A, Fukuyo M, Aoki K, Okumura K, Tabata Y, Chen Y, Kaneda A, Wakabayashi Y, Ohki R.
    • 雑誌名

      Journal of Investigative dermatology.

      巻: 142 ページ: 1040-1049

    • DOI

      10.1016/j.jid.2021.09.007.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Japanese Wild-Derived Inbred Mouse Strain, MSM/Ms in Cancer Research.2021

    • 著者名/発表者名
      Okumura K, Saito M, Isogai E, Wakabayashi Y.
    • 雑誌名

      Cancers

      巻: 13 ページ: 1026

    • DOI

      10.3390/cancers13051026.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] A wild-derived inbred mouse strain, MSM/Ms, provides insights into novel skin tumor susceptibility genes2021

    • 著者名/発表者名
      Okumura K, Saito M, Wakabayashi Y.
    • 雑誌名

      Experimental animals

      巻: 70 ページ: 272-283

    • DOI

      10.1538/expanim.21-0017.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Pak1の3’UTR多型は代替ポリアデニル化を制御しマウス皮膚がん感受性に影響を与える2021

    • 著者名/発表者名
      奥村和弘、斎藤慈、磯貝恵理子、荒木喜美、若林雄一
    • 学会等名
      第80回日本癌学会学術総会
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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