研究課題
マラリア患者において、γδ T細胞はマラリア原虫感染赤血球に対して免疫応答する細胞の中で非常に高い反応性をもつ細胞であることから、マラリア防御免疫やマラリア免疫病態におけるγδ T細胞の役割を解明することは極めて重要である。最近、マラリア原虫に頻回感染した患者では、このγδ T細胞が “ γδ T細胞疲弊 ”という現象を起こしていることを示唆する報告が出された。しかし、この “ γδ T細胞疲弊 ”という表現型をもった細胞が、マラリアに対してどの様な影響を及ぼしているのかについては謎のままである。極めて最近、研究代表者は、マウスマラリアモデルにおいても、この “ γδ T細胞疲弊 ” という現象がみられることを報告した。本研究は、マウスマラリアモデルを駆使して、新たに発見されたこのγδ T細胞疲弊という現象がマラリア免疫においてどの様な働きを持っているのか、その全容解明を目的とする。今年度は、各感染ステージ(ナイーブ、活性化期、疲弊期)におけるVγ1+Vδ6.3 γδT細胞で発現する転写因子や活性化マーカーについてフローサイトメーターを用いて検出した。CD8+T細胞においてT細胞疲弊に関連する転写因子群の発現上昇が疲弊期のγδT細胞でも見られたことから、CD8+T細胞と類似した遺伝子群が変動している可能性が考えられた。一方で、マイクロアレイの結果からは、CD8+T細胞のT細胞疲弊では見られない転写因子の上昇が見られており、γδT細胞疲弊に特異的な遺伝子群の関与も示唆された。今後は、レンチウイルスベクターを用いて候補遺伝子の検証を進める予定である。さらに、γδ T細胞疲弊がマラリア防御免疫に与える影響の解明するために、Rag2KOマウスを用いた移入実験を進めているところである。
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