腸管系病原菌は、宿主細胞表面に付着し、定着するために、数多くのオルガネラを進化させてきたが、線毛はその最も顕著な例である。本研究では、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)のオペロンにコードされたIV型線毛の一種である定着因子抗原III(CFA/III)の新規腸管付着機構を提案する。CFA/IIIは、宿主細胞表面に付着するために、線毛の先端部において分泌タンパク質であるCofJとの相互作用を必要とする。CofJには、脂質膜との結合に関与する芳香族アミノ酸残基のクラスターが存在することから、ETECの感染過程において、分泌タンパク質が宿主細胞表面とIV型線毛を橋渡しする役割を担うことが示唆された。
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