現在、string test陽性(粘稠性の高い)肺炎桿菌を、開始当時よりもさらに多く収集し、それらの次世代シーケンサーによる解析を実施している最中である。string test陽性株は、病原性が高いとの報告があるため、病原性に関連する遺伝子との関係についても調査を進めている。 一方で、中国ではKPC-2保有string test陽性K. pneumoniaeによるアウトブレイクが起こったとの報告があり、それらはST11であった。中国からの帰国患者より、同様の株が分離されたため、これの配列解析を実施した。この株は粘稠性に関与する既知の遺伝子を保有しておらず、K. pneumoniaeの高度粘稠性に関わる新規因子を同定する必要があった。同一の患者より、酷似した遺伝的背景を有するが粘稠性を示さない臨床分離株が存在し、ドラフトゲノム配列を得て比較解析を実施したところ、粘稠性に関与する候補として7遺伝子まで絞り込んだ。今後、これらの中でどれが原因遺伝子であるかを実験的に検討する予定である。
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