現在もstring test陽性(粘稠性の高い)肺炎桿菌の収集を続け、それらを次世代シーケンサーにより解析を継続している。 研究室で保有している肺炎桿菌約200株について、温度条件を変えた状態でstring testを再度実施中であり、遺伝子解析の結果と併せてさらに詳細な検討を行っている。塩基配列決定が終了した株について、kleborateやabricate等のソフトを使用し効率的に解析できる環境を整え、それに基づいて解析を実施している。 その傍らで、個別解析として中国由来KPC-2保有string test陽性K. pneumoniaeの解析を実施している。 この株は粘稠性に関与する既知の遺伝子を保有しておらず、K. pneumoniaeの高度粘稠性に関わる新規因子を同定する必要があった。同一の患者より、酷似した遺伝的背景を有するが粘稠性を示さない臨床分離株が存在し、ドラフトゲノム配列を得て比較解析を実施したところ、粘稠性に関与する候補として7遺伝子まで絞り込んでおり、今後これらの中でどれが原因遺伝子であるかを実験的に検討する予定である。また、この中国由来ST11株と似た株の報告があるが(Emerging microbes & infection)、この報告中の株は粘稠性を示さないため、この情報と比較しつつ解析をすすめる。これらから得られた情報をまとめ、粘稠性を左右する因子を見出すとともに、そのメカニズムについても検討する。
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