研究課題/領域番号 |
18K07115
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
古賀 道明 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (60383014)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ギラン・バレー症候群 / カンピロバクター / インフルエンザ桿菌 / ガングリオシド / リポオリゴ糖 |
研究実績の概要 |
多くの自己免疫疾患では発症に感染症の関与が想定されているが、疫学的関連すら証明されていないことが多く、病態機序も推測の域を出ない。一方、ギラン・バレー症候群は各種感染症との疫学的な関連が証明され、その病態機序が最も明らかとされた自己免疫疾患となった。本研究では、先行感染の原因病原体レベルでGBSの多様性が規定されていることを証明することを目的とする。 2018年度は、ギラン・バレー症候群症例の解析を行った。つまり、全国から自己抗体検索の目的で紹介されてきた症例を対象に臨床像の解析を行うとともに、自己抗体(抗ガングリオシド抗体)の測定と先行感染(Campylobacter jejuni, Haemophilus influenzae, Mycoplasma pneumoniae, サイトメガロウイルス、エプスタイン・バーウイルス)の同定を行った。その結果、ギラン・バレー症候群の中でも筋力低下が四肢遠位部に限局する臨床亜型が存在することを見出し、新たなギラン・バレー症候群の臨床亜型として「遠位部限局型ギラン・バレー症候群(distal limb weakness phenotype of Guillain-Barre syndrome)」を提唱するに至った。この亜型では、自己抗体としてIgG抗GM1抗体が検出され、またほぼ例外なくC. jejuniが先行感染であることが明らかとなった。つまり、先行感染レベルで自己抗体の反応性が決定され、結果的に筋力低下の分布が規定されていることを強く示唆する所見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者由来の分離病原体を用いた検討を行う予定であるが、先行感染病原体が分離される症例が予想に反して少なかったことから、血清学的な解析に頼らざるを得ず、その解析に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の実績として、ギラン・バレー症候群の新たな臨床亜型を同定することができたことから、この臨床亜型の患者由来C. jejuni菌株を用いた構造分析など、菌体側因子を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遂行が若干遅れたことから、2018年度中に細菌を用いた実験に着手できず、結果として細菌実験に必要な消耗品(シャーレや培地、抗体)などの購入を見合わせたため。今後は多くの検体を対象にする実験のため、当初の予定通りプラスチック製品や試薬などの多くの消耗品を要し、その購入に多くの研究費を費やす予定である。
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