サルモネラは食中毒の原因菌であり、腸炎や敗血症を引き起こす。このようなサルモネラの病原性には2つのIII型分泌機構(T3SS)が関与する。本研究ではT3SS-2によるマクロファージ細胞死に焦点をあて、サルモネラ腸炎発症機構との関連を明らかにする。 これまでにマウスマクロファージ様RAW264.7細胞を用いて、<i>Salmonella</i> Typhimuirumによるマクロファージ細胞死には宿主因子BおよびCが関与することを明らかにした。これらの宿主因子は同一の細胞死誘導カスケードに存在することが知られている。以上のことから、<i>S<i>. Typhimuriumにより誘導されるマクロファージの細胞死には本カスケードの活性化が関与することが示唆された。 次に、サルモネラ感染のどの過程においてマクロファージの細胞死が誘導されるのかを明らかにするため、<i>S</i>. Typhimurium T3SS-1欠損株またはT3SS-1およびT3SS-2二重欠損株をマウスに感染し、感染マウスの臓器または組織から白血球を含む細胞を分取した。それらの細胞を各種蛍光標識抗体により染色後、FACS解析によってどの臓器または組織でマクロファージ細胞死が認められるのかを調べた。その結果、T3SS-1欠損株では脾臓においてマクロファージ細胞死が顕著に見られたのに対し、T3SS-1およびT3SS-2二重欠損株では全く認められなかった。このことからサルモネラ感染マウスでは、脾臓においてT3SS-2依存的なマクロファージの細胞死が誘導されていることが示された。
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