研究課題/領域番号 |
18K07132
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
川端 寛樹 国立感染症研究所, 細菌第一部, 室長 (60280765)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ボレリア / ビトロネクチン / 新興回帰熱 / 血清感受性 |
研究実績の概要 |
Borrelia miyamotoi血清耐性機序解明を目的として、形質転換可能かつ血清感受性のBorrelia garinii株をrecipientとして、B. miyamotoiの表層抗原遺伝子を個別に導入したライブラリーを作成し、この内B. miyamotoi 由来のbom1093ならびにbom1515遺伝子がB. gariniiに血清耐性能を付与することを明らかにしてきた.これら遺伝子は一次配列で95%以上の相同性を示したことからその機能性についてはbom1093およびbom1515遺伝子ともに共通と推測し、本研究ではbom1093遺伝子に絞って解析を実施した。 bom1093遺伝子はmock controlに対して1000cfu以上の血清耐性能を親株に付与した.またbom1093遺伝子の3'側より欠失変異株を作成し、血清耐性に必要なドメインがC末端側に存在することを明らかにした.また昨年度までの研究では、Bom1093抗原はクラスタリンとの結合能を有することが明らかにしていたが、これに加えて本B. miyamotoi由来抗原がビトロネクチン結合能を有することがpull down assayなどから明らかとなった.Bom1093抗原のビトロネクチン結合ドメインはC末端側に存在することも本研究で明らかとなった.これは欠失変異株を用いた血清感受性試験に基づく機能ドメイン解析結果と矛盾は生じなかった。本年度は、血清中のビトロネクチンを枯渇させた血清では、bom1093遺伝子による形質転換株は血清感受性を示すとともに、ビトロネクチオンの相補により、形質転換株の血清耐性能が回復することを明らかにした.一連の実験により、本遺伝子が、Borrelia miyamotoiの血清耐性能に関与することが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の流行により、研究の進捗にやや遅れが生じた。遅れた部分については研究期間を延長して当初の計画完了を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに形質転換可能かつ血清感受性のBorrelia garinii株をrecipientとして、B. miyamotoiの表層抗原遺伝子を個別に導入したライブラリーを作成し、この内B. miyamotoi 由来のbom1093ならびにbom1515遺伝子がB. gariniiに血清耐性能を付与することを明らかにしてきた.これ以外に複数のボレリア候補遺伝子がスクリーニングで見出されており、これらの因子について、血中の補体系制御因子との結合能をスクリーニングし、成果発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の流行により研究の進捗に遅れが生じた。2020年度実施予定であった実験を延長し、2021年度に実施を延長した実験ならびに成果発表を行う。
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