研究実績の概要 |
PE_PGRS30のN末端にGFPを融合したGFP-PE_PGRS30を発現させるプラスミドを作製しRAW264.7細胞にトランスフェクションした。GFP-PE_PGRS30発現細胞をAnnexin V/7-AADで染色、フローサイトメトリーで解析した結果、GFP発現細胞と比較して、アポトーシス細胞の割合が有意に高かった。次に、PE_PGRS30の全長及び3ドメイン(PE, PGRS, CT)の組換えタンパク質を発現する大腸菌を作製した。精製したPE_PGRS30、PE、PGRS及びCTを、C57BL/6マウス由来肺胞マクロファージに添加し、Annexin V/7-AADで染色、フローサイトメトリーで解析した結果、GFPと比較してPE_PGRS30は、有意にアポトーシスを誘導した。ドメイン別では、PGRSドメインが、PE_PGRS30と同等のアポトーシス誘導能を示した。また、PE、CTドメインは、GFPと同等であった。次に、PE_PGRS30、PE、PGRS及びCTをRAW264.7細胞に添加して、免疫染色を行い、それらの細胞内局在を調べた所、PE_PGRS30はPHB2と共局在していた。ドメイン別ではPGRSドメインのみがPHB2と共局在していた。また、PE_PGRS30, PE, PGRS及びCTを添加してミトコンドリアを染色した所、いずれもミトコンドリアとは共局在していなかった。さらに、PE_PGRS30, PE, PGRS及びCTを添加し、タンパク質分解を担う小器官リソソームのマーカーであるLAMP1を染色したところ、全てLAMP1と共局在していた。これらの結果から、PE_PGRS30は、PGRSドメインを介してPHB2と結合し、ミトコンドリアからリソソームへと輸送することで、ミトコンドリア内のPHB2量を減少させ、アポトーシスを誘導することが示唆された。
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