研究課題
インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼに内包されているエンドヌクレアーゼ活性部位を標的として、インフルエンザ治療薬候補化合物の開発を進めた。化合物スクリーニングにより、3種類の阻害物質を同定し、いずれもウイルスの増殖を抑えること、このうちの2つにはほとんど細胞毒性が認められないという知見を得た。またエンドヌクレアーゼ活性部位との共結晶構造解析に成功し、化合物の構造改変への指針とした。3つの化合物のうち、細胞毒性の低い2つには共通してピロガロールと呼ばれる骨格構造が含まれていたので、ピロガロール骨格を持つ化合物について合成を進めた。結晶構造解析の結果に基づいて、幾つかの変換構造を考案した。化合物と活性部位との結合親和性を計算機上で結合スコアーとして算出し、算出したスコアー値を参考に合成する化合物構造を決定した。化合物合成を行うと、ピロガロール骨格への修飾が合成条件によって困難な場合があることが判明した。従って、合成できた化合物の中に、最初に同定した化合物よりも阻害活性の高いものが見出された。ピロガロールを含む化学構造について、有機合成における反応条件を探索した結果、目的とした化合物の骨格構造が比較的容易に得られる合成経路を見つけることができた。また合成して得られた化合物について、X線共結晶構造解析を進めた。新規の化合物を混合してタンパク質結晶を成長させると、化合物の種類により結晶の成長状況が異なったが、一つの化合物については、十分な分解能で回折像が得られた。
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J. Chem. Inform. Model.
巻: 61 ページ: -
Crystal Growth & Design
巻: 21 ページ: 297~305
10.1021/acs.cgd.0c01136
http://www.p.chiba-u.jp/lab/bukka/index.html