ノイラミニダーゼ(NA)の変異により、ヘナグルチニン(HA)の変異なしに鶏卵で効率よく増殖するようになった2003年分離H3N2ウイルスにおいて、どのNA変異が重要であるのかの特定を行った。その結果、2003年分離株では、NAにおける3つのアミノ酸変異が、HAに変異を生じることなく鶏卵で効率よく増殖することに重要であることが明らかになった。 次に、近年の流行株において、NAの変異により、HAに変異を生じることなく鶏卵で効率よく増殖するウイルスを作出するために、2017/18シーズンの流行株3株について、発育鶏卵での継代(羊膜腔継代→漿尿膜腔継代)を試みた。しかしながら、いずれも継代初期にHAに変異が生じ、近年の流行株において、目的のウイルスを得ることはできなかった。 そこで、2003年分離NA変異ウイルスの結果を応用し、NAにランダム変異を導入することで、近年の流行株においても、HAに変異を生じることなく鶏卵で効率よく増殖するウイルスの作出に成功した。
|