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2019 年度 実施状況報告書

鶏卵での増殖過程に抗原性が変化しないインフルエンザウイルスの作出とワクチン応用

研究課題

研究課題/領域番号 18K07139
研究機関東京大学

研究代表者

山田 晋弥  東京大学, 医科学研究所, 助教 (90466839)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードインフルエンザ / ワクチン / 抗原性 / H3N2
研究実績の概要

昨年度は、2016~18シーズンのワクチン推奨株であったA/Hong Kong/4801/2014株を用いて、HAの主要抗原部位に変異を生じることなく鶏卵で効率よく増殖するNA変異ウイルスの作出をに成功した。本年度は、最近流行している株を用いて、HAの主要抗原部位に変異を生じることなく鶏卵で効率よく増殖するNA変異ウイルスを作出することを目的とし、以下の解析を行った。まず、2017/18シーズンおよび2018/19シーズンに流行した、遺伝的に異なる複数のH3N2亜型ウイルスを選出し、それらの株に昨年度同定したNA変異の知見を基とした様々なNA変異を導入した。次に、作出したウイルスの中から鶏卵でよく増えるウイルスを選別し、鶏卵での継代過程でHAに変異が生じないか否か調べた。その結果、近年の流行株においても、HAの主要抗原部位に変異が起こりにくく、かつ鶏卵で効率よく増殖するNA変異ウイルスの取得に成功した。次に、NA変異により鶏卵で効率よく増えるようになるメカニズムとして、変異NAが、HAの代わりレセプター結合を担っているといった仮説を考え、その仮説の検証を行った。レセプター結合能を失ったHAを作製し、HAがレセプター結合を行わなくても、感染性粒子が形成させるか否か調べた。解析の結果、NAが親株由来である場合、感染性ウイルスは作製されないが、同定した変異NAを有する場合は、ウイルスはレスキューされ、更に、鶏卵で効率よく増えることが明らかなになった。また、レセプター結合能を失ったHAを有するウイルスが、変異NAを有することで血球凝集能を獲得することが明らかになった。これらの結果から、変異NAがHAに代わりレセプター結合を担い、ウイルスの効率よい増殖に寄与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に掲げた、「Y2017羊膜/漿尿膜継代株の重要なNA変異を特定し、ワクチン株や流行株に応用する。」および「NAの変異が鶏卵での効率の良い増殖に関与するメカニズムを明らかにする」について結果を得ており、おおむね順調に成果を得ていると判断する。

今後の研究の推進方策

今後、作出した変異NAウイルスの不活化ワクチンを作製し、フェレット等の実験動物を用いて、近年の流行株に対する効果的な抗体を誘導できるか否かについて解析を進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Soluble Recombinant Hemagglutinin Protein of H1N1pdm09 Influenza Virus Elicits Cross-Protection Against a Lethal H5N1 Challenge in Mice.2019

    • 著者名/発表者名
      Yamada S, Yasuhara A, Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      Front Microbiol.

      巻: 4(10) ページ: 1268-1273

    • DOI

      10.3389/fmicb.2019.02031.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influenza Virus Polymerase Mutation Stabilizes a Foreign Gene Inserted into the Virus Genome by Enhancing the Transcription/Replication Efficiency of the Modified Segment.2019

    • 著者名/発表者名
      2.Furusawa Y, Yamada S, da Silva Lopes TJ, Dutta J, Khan Z, Kriti D, van Bakel H, Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      mBio.

      巻: 10(5) ページ: e01794-19

    • DOI

      10.1128/mBio.01794-19.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A humanized MDCK cell line for the efficient isolation and propagation of human influenza viruses.2019

    • 著者名/発表者名
      Takada K, Kawakami C, Fan S, Chiba S, Zhong G, Gu C, Shimizu K, Takasaki S, Sakai-Tagawa Y, Lopes TJS, Dutta J, Khan Z, Kriti D, van Bakel H, Yamada S, Watanabe T, Imai M, Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      Nat Microbiol.

      巻: 4(8) ページ: 1268-1273

    • DOI

      10.1038/s41564-019-0433-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Antigenic drift originating from changes to the lateral surface of the neuraminidase head of influenza A virus.2019

    • 著者名/発表者名
      4.Yasuhara A, Yamayoshi S, Kiso M, Sakai-Tagawa Y, Koga M, Adachi E, Kikuchi T, Wang IH, Yamada S, Kawaoka Y.
    • 雑誌名

      Nat Microbiol.

      巻: 4(6) ページ: 1024-1034

    • DOI

      10.1038/s41564-019-0401-1.

    • 査読あり
  • [学会発表] 鶏卵での増殖過程でHAの抗原性変化を伴わないH3N2インフルエンザウイルスの作出2020

    • 著者名/発表者名
      山田晋弥、安原敦洋、高田光輔、柳本周、千葉志穂、Ryan McBride、 Charli Worth、Andrew J. Thompson、Tiago J.S. Lopes、山吉誠也、 James C. Paulson、河岡義裕
    • 学会等名
      9th Negative strand virus-Japan

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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