研究課題
昨年度までは、2016~18シーズンのワクチン推奨株であったA/Hong Kong/4801/2014株、および2017/18シーズンおよび2018/19シーズンに流行した遺伝的に異なる複数のH3N2亜型ウイルスを用いて、HAの主要抗原部位に変異が起こりにくく、かつ鶏卵で効率よく増殖するNA変異ウイルスの作出を行った。更に、HAのレセプター結合能を欠失させると、NAが親株由来である場合は、感染性ウイルスは形成されないが、同定した変異NAを有するウイルスは感染し増殖することが可能であり、かつ血球凝集能を獲得することを明らかにし、変異NAがレセプター結合能を獲得している可能性を見出した。今年度は、ウイルス感染におけるNA変異の重要性をさらに解析した。HAとレセプターとの結合を特異的に阻害する抗体を作製し、その抗体存在下で、ウイルスが培養細胞に感染しうるか検証したところ、NAが親株由来である場合は感染が成立しないのに対し、同定した変異NAを有する場合は感染が成立することを明らかにした。それにより、NA変異ウイルスが、鶏卵で効率よく増えるようになるメカニズムとして、変異NAが、HAの代わりレセプター結合を担っている可能性を強く示唆された。
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