インフルエンザワクチンは、インフルエンザに対する有効な防御手段であるが、近年のH3N2ウイルスはワクチン製造過程でHAの抗原性が変わり、流行株に対する効果的な免疫を誘導できない問題が生じている。本研究では、HAの主要抗原部位に変異を起こさずに鶏卵で効率よく増殖するNA変異ウイルスを作出した。変異NAは血球凝集能を示し、レセプター結合を担っている可能性が示唆された。更に、鶏卵継代過程でHAの主要抗原部位に変異を生じないことからワクチン株として利用できる可能性が示唆された。以上から、本研究は流行株と抗原性の一致した効果の高いワクチン製造のための新しいアプローチであると考えられる。
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