研究課題/領域番号 |
18K07142
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
伊藤 暢聡 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (40361703)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 蛋白質間相互作用 / 抗ウイルス蛋白質 |
研究実績の概要 |
本研究は、哺乳類の抗レトロウイルス蛋白質であるAPOBEC3のデアミナーゼ活性非依存性のウイルス抑制機構の解明をめざして、マウスのAPOBEC3とウイルス側蛋白質因子との相互作用を、X線結晶解析や熱力学的解析を基軸として研究することを目的としている。研究計画初年度である本年度は、各種実験の基盤である蛋白質試料の調製法の開発を中心に研究を進めた。また、結晶化実験も開始した。 1.蛋白質試料の作製 マウスのAPOBEC3は二つのZドメインから構成される。我々はこれまでデアミナーゼ活性のあるアミノ末端側のZドメインを対象にしていたが、本研究ではカルボキシル末端側のZドメインと、これら両者を含む全長蛋白質についても研究と進めている。大腸菌を用いたバクテリア発現系による大量発現を試みた。ウイルス感受性とウイルス耐性の2つのマウス株由来のAPOBEC3 cDNAから、発現系を設計・構築した。その結果、アミノ末端側Zドメイン、カルボキシル末端側Zドメイン、全長蛋白質のすべてにおいて、高発現を示す発現系を得ることに成功した。カルボキシル末端側Zドメインと全長蛋白質においては、可溶性に問題が見られ、最終的な収量が低下した。また、ウイルス側蛋白質因子についても発現系の開発に着手した。 2.蛋白質の結晶化 上記1で得られた蛋白質試料を順に、結晶化実験を試みた。各種スクリーニングキット等を用い、ハンギングドロップ法とシッティングドロップ法を併用して結晶化を試みた。いずれの条件においても回折実験に適した結晶を得ることはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウイルス感受性とウイルス耐性の双方のマウス株で、APOBEC3のアミノ末端側Zドメイン、カルボキシル末端側Zドメイン、全長蛋白質のすべてにおいて発現系を構築できたこと、またそれらの一部に対して結晶化実験を開始できたことから、上記のように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作成した蛋白質の発現系の改善、特にカルボキシル末端側Zドメインおよび全長蛋白質の可溶性の改善を行う。ウイルス側蛋白質因子の発現・精製方法を確立する。また、引き続き、各試料の結晶化を進めるとともに、溶液系での相互作用解析も開始し、研究計画にそって研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部可溶性の低い試料について、結晶化等の実験が想定より少なくなったためと思われる。それらの実験は次年度に行う予定である。
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