研究課題/領域番号 |
18K07144
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
谷 英樹 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (20397706)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SFTSV / 組換えVSV / ワクチン抗原 / SFTSV擬似粒子 / ISAAC法 / 中和抗体 |
研究実績の概要 |
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス(SFTSV)によるSFTSに対して、特異的な治療薬やワクチン等はまだ確立されておらず、こうした抗SFTSV薬の研究や開発は喫緊の課題であると思われる。本研究では、種々の方法を駆使して感染を防御できるような抗体医薬品の開発を試みる。昨年度から引き続きSFTSVのエンベロープ遺伝子を挿入した組換えVSVの作製に取り組んだものの、組換えVSVが得られなかったため、並行して行っている一回感染性のSFTSV擬似粒子(SFTSV-SRIPs)の作製およびその応用を中心に行った。昨年度、SFTSV-SRIPsを細胞内で効率良く作製できることを明らかにできたので、次にこのSFTSV-SRIPsがワクチン抗原として利用できるか、BALB/cマウスを用いて免疫実験を行った。この抗血清をELISAおよびSFTSV-GP外套シュードタイプVSV(SFTSVpv)を用いてウイルス中和試験を行ったところ、GP抗原に対するELISA価の上昇およびSFTSVpvの中和活性を確認することができた。そこで、免疫を行ったマウスの脾臓からリンパ球を回収し、ISAAC法を用いて精製SFTSV-GPに反応する抗体産生細胞を単離し、抗体遺伝子のクローニングを行った。その結果、いくつかの抗体遺伝子が得られたものの、SFTSVpvを中和する抗体は得られなかった。これはSFTSV-SRIPs単独での免疫ではELISA価がそれほど高くなかったこともあり、次にアジュバントと混合させて再度マウスへの免疫を行った。その結果、アジュバントを加えた場合、SFTSV-SRIPs単独に比べて10倍以上のELISA価が得られ、またSFTSVpvの中和活性も高いことが示された。今後、このマウスの脾臓から得られた細胞を元に再度ISAAC法を用いて中和抗体の作製を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組換えVSVが作製できていないものの、SFTSV-SRIPsが作製できるようになったため、こちらを抗原として実験を進めている。今年度は、目標とする抗体医薬品の作製に向けて、計画していたISAAC法を利用して抗体を作製する実験も行うことができた。実験の結果、SFTSV-SRIPs単独では抗原量が少なかったために、引き続きアジュバントを用いて追加実験まで行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きISAAC法を用いて中和抗体の作製に取り組む。今後、SFTSV-SRIPsのワクチン抗原としての応用を見据えて、マウスを用いたSFTSVチャレンジ実験に着手する。その他、SFTSV-SRIPsを欠損セグメントにコードされている遺伝子を恒常的に発現する細胞のみで増幅できるような改良型のものを作製し、より実用化できるようなワクチンベクターの開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度遂行予定だった実験が次年度にずれ込んだため。
(使用計画)使用予定だった消耗品を次年度分の消耗品として使用する。
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