ヒトノロウイルス(HuNoV)は長らく培養系が未確立であったため、感染メカニズムに不明な点が多い。本研究では、ヒト小腸オルガノイドを用いたHuNoV培養系を駆使し、感染時に胆汁を必要とする遺伝子群II遺伝子型3(GII.3)のHuNoVの感染メカニズムを調べた。その結果、胆汁酸とセラミドがHuNoV細胞侵入に重要な役割を担うことを示した。また、胆汁酸による1)エンドサイトーシス促進、2)エンドソーム酸性化誘導、3)腸内腔側細胞膜のセラミドレベル増加、といった複数の細胞ダイナミクスの変化を利用してHuNoVが細胞に侵入することも明らかにした。この研究成果は、米国科学アカデミー紀要に掲載された。
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