研究課題
これまでの我々の研究から、HIV-1gp41の部分ペプチドであるC34ペプチドの誘導体(CC34REG)の二量体が単量体と比較して著しく高い抗HIV-1活性を示すことが明らかになっている。この二量体の作用機序としては、1)二量体の片方のヘリックスがNHRと相互作用する(この場合、C34ペプチド同士の相互作用によりα-へリックス性が増大する)、2)C34ペプチドの両方のヘリックスがNHRと相互作用する、の二つが考えられる。そこで今年度は、その作用機構解明のため、CC34REG単量体および二量体をNHRの部分ペプチドN36と混合する系における1)CDスペクトル解析、2)熱変性試験を行った。その結果、CC34REG二量体はNHRの部分ペプチドと2本のペプチド鎖で(二価で)相互作用していることが示唆された。さらに、このCHR部分ペプチドで成功した「二量体化戦略」を低分子膜融合阻害剤に適用可能かをBogerらが2012年に報告している、NHRの疎水性相互作用領域との相互作用部位を模倣した低分子HIV-1膜融合阻害剤を材料に検討した。その結果、リンカーを適切な長さに設計したBogerの二量体が単量体と比較して著しく高い抗HIV-1活性を示すことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
特に予定外のこともなく、当初の予定の実験を遂行できた。
二量体化したCHRの部分ペプチドや低分子融合阻害剤がこれまで使用開発されてきたT20やC34に対する薬剤耐性株に対して交叉耐性を示すか否かを検討する。交叉耐性を示さないか、その程度が低いときは二量体化した膜融合阻害剤に対して耐性ウイルスの誘導とその解析を遂行する。また、細胞間膜融合の検出系を自分のラボでも遂行できるようにセットアップを行う。
年度末納品にかかる支払いが平成31年4月1日以降になったため。当該支出分については次年度の実支出額に計上予定であるが、平成30年度分についてはほぼ使用済みである。
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