研究課題/領域番号 |
18K07158
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
村上 努 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (50336385)
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研究分担者 |
玉村 啓和 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (80217182)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HIV / 膜融合 / 阻害剤 / 二量体 |
研究実績の概要 |
我々は昨年度までに、HIV-1 gp41のC末端側ヘリックス領域(CHR)由来のC34ペプチドやBogerらの低分子HIV-1膜融合阻害剤を二量体化することによって、抗HIV-1活性が単量体に比べ著しく向上すること、二量体化によって阻害ペプチドとN末端側ヘリックス領域(NHR)との相互作用がより強固になることを明らかにした。そこで今年度の研究では、これらの二量体化HIV-1膜融合阻害剤の作用機構をさらに明らかにするため、ジスルフィド結合でN末端側とC末端側の両方を架橋した両末端架橋二量体を合成し、その構造情報解析を実施した。また、C34ペプチド誘導体(CC34REG)およびBogerらの阻害剤の二量体に対して、T-20やC34ペプチドに対する耐性HIV-1が交叉耐性を示すか否かを検討した。その結果、CC34REG両末端架橋二量体は、単量体や片側末端架橋二量体に比べ高いα-ヘリックス含量をもつこと、熱変性試験における両末端架橋二量体とN36REとの複合体の変性温度は、2つの片側末端架橋二量体のおよそ中間の値を示すことが明らかとなった。一方、CC34REGおよびBogerらの阻害剤の二量体は、T-20および C34高度耐性HIV-1に対しても野生型と同程度または数倍弱い阻害活性を示すという興味深い結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験が概ね予定通り実施でき、学会発表も行った。現在論文執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者が実施中の物理化学的解析のウイルス学的検証および二量体耐性HIV株の誘導実験を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、共同研究者の異動による必要消耗品額の減少である。 使用計画は、今後の研究の推進方策で記載した実験における消耗品の購入を考えている。
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