主任研究者らはこれまでに、HIV-1 gp41のC末端側ヘリックス領域(CHR)由来のC34ペプチドやBogerらの低分子HIV-1膜融合阻害剤を二量体化することによって、抗HIV-1活性が単量体に比べ著しく向上すること、二量体化によって阻害ペプチドとN末端側ヘリックス領域(NHR)との相互作用がより強固になることを明らかにした。さらに、C34ペプチド誘導体(CC34REG)両末端架橋二量体は、単量体や片側末端架橋二量体に比べ高いアルファヘリックス含量をもつこと、熱変性試験における両末端架橋二量体とN36REとの複合体の変性温度は、2つの片側末端架橋二量体のおよそ中間の値を示すことを明らかにした。これらに加えて、すでにBogerらによって報告されている低分子のgp41のpeptidomimeticを材料に種々の長さのPEG-linkerを用いて二量体を作製し、それらの抗HIV-1活性発現について検討した。その結果、1)gp41のpeptidomimeticは、特定の長さのPEG-linkerを用いて二量体化したときのみ高い抗HIV-1活性を示すこと、2)CC34REGの場合と同様に、Bogerらの阻害剤の二量体は、T-20および C34高度耐性HIV-1に対しても野生型と同程度または数倍弱い阻害活性を示すという興味深い結果が得られた。これらの研究成果をBioorganic & Medicinal Chemistry誌に発表した。
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