研究課題
本研究では、HBV複製に関係するlncRNAの同定を試みた。HBV Xタンパク質と結合するlncRNAを同定するため、HAとmycタグを付加したXタンパク質をHepG2細胞に発現させ、HA抗体、myc抗体で免疫沈降を行い、X遺伝子と結合するlncRNAを次世代シークエンスで同定した。その結果、一つのmiRNAがX遺伝子と強く結合した。このmiRNAがX遺伝子の機能に影響するかどうかを評価するため、このmiRNAに対するmimic及びinhibitorを用いて、その機能評価を行った。その結果、mimic処理を行った細胞では、Xタンパク質のHBV coreプロモーターの転写活性化能が抑制された。一方、inhibitorを処理した細胞では、Xタンパク質のHBV coreプロモーターの転写活性化能が促進された。以上の結果より、今回同定したmiRNAはHBV Xタンパク質を抑制することが示唆された。次に、HBV感染におけるmiRNAの機能を評価した。その結果、mimic処理を行った細胞では、HBVの感染が抑制された。一方、inhibitorを処理した細胞では、HBVの感染が促進された。この結果より、今回同定したmiRNAはHBV感染も抑制することが示唆された。今回同定したmiRNAの作用機序を検討するために、mimicまたはinhibitorを用いて、Xタンパク質の発現を評価した。その結果、mimic処理した細胞ではXタンパク質の量が減少し、inhibitorを処理した細胞では、Xタンパク質の量が増加した。その結果、今回同定したmiRNAはXタンパク質の安定に関与することが示唆された。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件)
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