研究実績の概要 |
交付申請書に記した研究目的に即し、“何がDNAの能動的及び受動的脱メチル化を区別するのか“という学術的な問いに答えるべく研究に取り組んだ。三年間の研究で、免疫系における脱メチル化のプロセスは、1. 主にTETを介した受動的な機構で生じること、2. TDGを介した能動的な機構も寄与は少ないものの確かに働いていること、3. 近接するCpGが調和的に制御されること、を見出した。筆頭著者として論文を投稿後、査読を経て修正を加え現在再投稿したところである。また、本研究課題はエピジェネティック分野のもう一つの柱であるヒストン修飾と密接に関連するため、その領域の研究にも精力的に取り組んだ。その結果、共筆頭著者として発表した原著論文において、ヒストン修飾補助因子Cxxc1がTCR刺激遮断後の遺伝子制御に重要であることを突き止めて報告した。さらに、共著者として研究代表者が得意とするバイオインフォマティックの部分を担当し、一報論文を発表した。以上の研究で用いたシークエンスデータは、全て公共データベース(GEO)で公開しており、世界で共有化が進むデータベースの構築にも貢献できた。 COVID-19の影響で学会発表の機会は得られなかったが、Inhouse Seminarや様々共同研究機関とのOnline Meetingなどでの途中経過の発表やdiscussionは定期的に行うことができた。共同研究先は、国内外の産学官と多岐に渡っており、国際的、学際的なネットワークの構築の実績も得られた。連携研究機関としては、La Jolla Institute for Immunology (LJI)、University of California, San Diego (UCSD)等多岐にわたる。以上のように、当初設定した学術的な問いに対する解答が明確となり、研究期間内に十分な研究実績が得られたと考えている。
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