研究課題/領域番号 |
18K07173
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 和彦 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (20332869)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | RNA輸送 / 胚中心 / R-loop / AID |
研究実績の概要 |
成熟B細胞特異的シチジン脱アミノ化酵素AIDは、抗体遺伝子が多様性を獲得する上で必須の分子であることが知られている。我々が同定した脾臓の胚中心で高発現するGANP分子は、近年の研究によって哺乳類のmRNA輸送を担うTREX-2と呼ばれる複合体の一構成因子として位置づけられ、AIDのcofactorとして機能することを明らかとしてきた。AIDは、一本鎖DNAのWRCモチーフにあるシチジンを脱アミノ化反応によってウリジンに変換するが、この反応は転写伸長時のDNA-RNAハイブリッド(R-loop)形成と関連するものと考えられる。R-loop形成の保持はゲノム不安定性を招くため、B細胞では適切に保護され、速やかにR-loop状態が収束されなければならない。また、GANPは細胞分裂が活発な細胞で、高発現することが知られている。抹消リンパ組織の胚中心は、特に細胞分裂が活発なことが知られている。GANPによるAIDへの作用には、この両者がローカルなゲノム部位、抗体遺伝子座で協調的に作用しているものと考えられる。そこで本研究では、GANPおよびAIDを基軸とした転写共役R-loop形成に着目し、mRNA輸送体としてのGANPの役割があるのか、その分子基盤の解明を目指す。今年度は、R-loopを特異的に検出するS9.6モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを大量精製し、抗体純度、標的B細胞の可溶化条件、免疫沈降の至適条件のプロトコールを改善した。国外のグループによるS9.6抗体を用いたDRIP (DNA-RNA immunoprecipitation)法の条件も参照しながら、B細胞に適した反応条件及びRNAポリメラーゼIIのSer2/Ser5リン酸化を指標による転写伸長状態を加えることによって、さらに詳細なR-loop形成とその影響が判明すると期待される。バイオインフォマティクス解析を組み合わせて、さらに精度あげていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DRIP法によるサンプル調整は一般的CHIP手法と相違はないが、明らかに精製抗体の質と用いる細胞可溶化液の状態によってoutput readが変動することが分かった。より詳細な転写部位に絞り込むため、以前に用いたことのあるRNAポリメラーゼIIのリン酸化による転写伸長状態の区分が有効であることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、さらにDRIP-seqの精度を向上したサンプルを用いて、GANP抗体を用いたCHIP、RNAポリメラーゼIIデータとの比較を進めている。現時点のサンプルを用いたバイオインフォマティクス解析用パイプラインの確認は、研究協力者と共に取り組んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中に次世代シークエンス受託経費としてサンプル数を増やし執行する予定であったったが、マウス由来細胞を用いた予備実験でサンプル調整改良の有効性が認められた。そのため、シークエンス解析は、本年度ではなく次年度に行うことが解析精度向上になると判断した。R2年度は、年次計画に加えて改良を施した追加サンプルの執行を含めて行う計画である。
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