研究課題/領域番号 |
18K07176
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
齋藤 史路 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20569016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ペア型レセプター / microglia / マクロファージ / 樹状細胞 |
研究実績の概要 |
ペア型レセプターの抑制化型レセプターは、通常はHLAなど自己抗原を認識し、自己を攻撃しないように制御している。ところが、このシステムを利用して持続感染性ウイルスや熱帯熱マラリア原虫は宿主の免疫応答を逃れていることがわかってきた。この抑制化型レセプターを利用した免疫逃避機構はガンの免疫逃避機構としても報告されている。多くのペア型レセプターは単球、マクロファージや樹状細胞といったいった細胞に発現しているがその意義はまだ解明されていないことが多い。そこで免疫担当細胞に発現しているペア型抑制化レセプターがどのような分子と相互作用し、免疫応答を制御しているのかを解明するのが目的である。2020年度は脳内の免疫担当細胞であるミクログリアに発現するペア型レセプターとリガンドとの炎症時の相互作用を解析しようと、ヒトミクログリア細胞株を用いてLILRファミリーのレセプターの発現を調べてみたが、どれも発現が弱く、強発現細胞を準備するべく検討中である。また、ヒトでは研究の限界が存在するため、マウスの系を立ち上げるべくマウスミクログリアでの発現も検証中である。と同時に、妊娠中の胎児内の免疫担当細胞についてもペア型レセプターの観点から検討しており、妊娠マウスから胎仔肝臓由来免疫担当細胞にペア型レセプターが発現していることを確認した。今後は母体感染時の胎児の免疫担当細胞の動態を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初ヒト末梢血から誘導した樹状細胞やモノサイト等を利用して研究することを検討していたが、諸事情により断念し、脳内の免疫細胞、あるいは胎生期免疫細胞など、軽微な変更をして検討中であるが、当初の予定通りに実験系が立ち上がらず遅れたことと、コロナ禍により研究時間の確保が難しかったため、あまり進展しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
胎生期の免疫担当細胞については、倫理的課題や解析手法があまり確立していない等で研究があまり進んでいない。そこで、マウスを用いて胎生期免疫細胞の解析を行う。マウスにおいても、成体期免疫細胞と異なり、細胞数等の量的問題や性質上の問題により解析が困難を極めるため、より良い解析手法を確立させ、様々な抑制化型レセプターの発現を解析し、様々な疾患における意義を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新しく立ち上げる実験が多く、軌道に乗せるまでに多くの時間を費やしたことや、コロナ禍のため試薬がなかなか手に入らなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は滞っていた計画を推進するため、当該助成金は試薬、培養液、動物等の購入に充て、ペア型レセプターとそのリガンドとの相互作用によって生じる炎症時の免疫動態の解明を遂行する。
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